2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05489
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横田 紘子 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (50608742)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドメイン境界 / 光第2高調波 / 強弾性体 / 圧電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドメイン境界において発現する物性の評価およびデバイスへの利用を目的とした操作を目的に研究を行ってきた。昨年度に引き続き、強弾性体であるLaAlO3に着目をし、光第2高調波顕微鏡を用いて極性の有無に関する評価を行った。LaAlO3においては応力印加によりtweedパターンを形成した試料については共鳴圧電応答スペクトロスコピーにより、圧電性の確認がされている。一方で、圧電性の存在は極性の有無を判断するには十分ではなく、本来、対称性の決定を行って初めて極性の存在について議論できる。そこで、本研究ではこの点に着目をしドメイン境界のもつ対称性の決定を行った。その結果、LaAlO3のドメイン境界は極性点群に属していることを明らかにした。また、3次元観察を行うことにより、ドメイン境界が有する極性は表面効果ではなく、本質的なものであることを明確にした。 また、ドメイン境界の存在が物性にどのような影響を与えているのかを明らかにするため単結晶試料を用いて電場印加下における構造評価を行った。この実験はフランス、グルノーブルの放射光施設ESRFにおいて行った。強誘電体BaTiO3と圧電体PbZrTiO3単結晶についてパルス電場を印加し、時間分解能測定を行うことで電場誘起による構造変化の観察を行った。これらの結果については現在解析中である。電場印加によるBragg反射の位置の変化はドメイン境界などによる外因性のもとの構造変化による内因性のものに分けられるが、解析を行うことによりこれら2つを分離し、どちらの寄与がより物性に影響をもたらしているのかを明らかにすることを目的に現在解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、予算を使用して光第2高調波顕微鏡システムの一部の改良を行った。これにより、微弱な信号を検出することが可能になりこれまで測定が難しかった試料に関しても、効率よく測定ができるようになった。現在、2本論文を準備中であり、おおむね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
予算の関係上、波長を変換できるようなシステムが導入できていないが、いずれ導入したいと考えている。これにより大幅に測定試料の幅が広がることが期待される。また、現在主な測定対象としているのが強弾性体であるが、反強誘電体などにおける反位相境界も対象にしていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
本研究成果を来年度スイスで開催される国際会議にて招待講演を行うことを予定している。このため、この旅費などにあてるため、次年度に旅費分の予算を残した。来年度は最終年度であるため、予算額が少ないため、当初のままの配分だと研究が遂行できなくなる恐れがあった。
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Research Products
(12 results)