2020 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrasonic Investigation of Uranium Compounds without Local Inversion Symmetry
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17K05525
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10456353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超音波 / アクチノイド / 多極子 / 強磁場 / 極低温 / トロイダル秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
大局的な反転対称性を持たない渦状磁気構造を持つウラン化合物UNi4Bについて低磁場・電流下において電流下超音波測定を行い、反転対称性無き結晶構造に起因する交差相関現象・非相反現象を探索し続けたが、本研究で用いた単結晶の結晶性と温度校正・超音波測定装置の感度(10E-5)では測定精度内で電流誘起による変化は観測されないという結論に至った。一方、UNi4Bの基礎データを蓄積する過程でドレスデン強磁場研究所のパルスマグネット(~60T)、東北大学金属材料研究所の無冷媒ハイブリッドマグネット(~28T)と、3He-4He希釈冷凍機を組み合わせ、H ≦ 60 T、T ≧ 20 mKの広い磁場・温度範囲まで拡張した磁場-温度相図を直方晶におけるH || bと H || cについて作成した。その結果、強磁場領域(H > 20 T)にこれまでに報告されていない新たな秩序相(V相)を発見した。上記で得られたUNi4Bの弾性応答を局在電子模型で解析し、直方晶を想定した新たな結晶場基底状態模型と、Uの四極子―歪み相互作用係数、四極子間のサイト間相互作用係数の決定に成功した。トロイダル秩序下でも常磁性状態を保つUサイトが四極子自由度を持ち、磁場方向に対して四極子応答が強い異方性を持つことが明らかとなった。これらの成果は当初意図していないものであったが、本系の複雑な磁気相図の背後に電気四極子の寄与が確かに存在することを示す重要な結果である。後半は、コロナ禍によりヨーロッパでの共同研究が停滞したため、日本国内で遂行できる研究に注力し、候補物質となる化合物(UBe13, UTe2, URu2Si2, UAu2Si2, U3Pd20Si6, CeRh2Si2, Cd2Re2O7など)の極低温・強磁場下における超音波測定を行い、弾性応答の基礎データを得ることができた。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] 放射光共鳴X線散乱によるUIr2Ge2における磁気秩序構造の決定2021
Author(s)
今布咲子, 鈴木悠介, 髙力暁成, 村田怜也, 金子佑真, 日高宏之, 柳澤達也, 田端千紘, 中尾裕則, 清水悠晴, 青木大, 網塚浩
Organizer
日本物理学会 第76回年次大会
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