2018 Fiscal Year Research-status Report
双曲型不安定性と波動の位相シフトが生み出す新しい型の流体力学的不安定性の研究
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17K05561
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 裕司 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70261469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 双曲型不安定性 / 密度成層 / 電磁流体 / 内部重力波 / アルヴェーン波 / 渦列 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 双曲型よどみ点をもつ回転流の不安定性:別種の波動によるパラメタ共鳴不安定性の解明のため、双曲型不安定性と回転の効果により生ずる慣性波が協働して生み出すパラメタ共鳴不安定性の発現の条件と回転の強さの関係を研究した。1 次元周期渦列および2 次元周期渦列を対象とし、局所安定性解析および固有モード安定性解析により、回転が弱い場合に双曲型不安定性が強くなること、回転が強くなると逆に双曲型不安定性弱くなり安定化することを明らかにした。また、渦と逆向きの回転を与えた場合には遠心力不安定性が発生することもわかった。楕円型不安定性を加えた3種類の不安定性の相対的な強さの比較を行い、回転の向きと強さ、渦列のパラメタに対する依存性を明らかにした。 (2) 双曲型よどみ点をもつ電磁流体の不安定性:前年度に続き、双曲型不安定性と磁場の効果により生ずるアルヴェーン波が協働して生み出すパラメタ共鳴不安定性の発現の条件と磁場の強さの関係を研究した。双曲型不安定性とアルヴェーン波が協働して生み出すパラメタ共鳴不安定性が存在するという前年度の局所安定性解析による結果を、固有モード安定性解析により裏付けることができた。また、2 次元周期渦列に加えて1 次元周期渦列を対象とし、新しく発見したパラメタ共鳴不安定性が一般に存在することを示した。 (3) 密度成層および回転の効果を受ける双曲型よどみ点をもつ流れの不安定性:複合的な効果によるパラメタ共鳴不安定性の解明のため、まずメソスケールの気象現象や惑星大気で重要となる密度成層と回転の複合的な効果を扱った。成層双曲型不安定性の特性が回転と成層の強さによってどのように変化するかを局所安定性解析と固有モード安定性解析により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画は、一部を除いてほぼ予定通りに実行された。平成30年度以降の計画の中で、「(1-1) 双曲型よどみ点をもつ回転流の不安定性」および「(1-2) 双曲型よどみ点をもつ電磁流体の不安定性」については、計画通りに実行され成果を挙げた。当初平成31年度に実施予定であった「(2-1) 密度成層および回転の効果を受ける双曲型よどみ点をもつ流れの不安定性」についても、ほぼ実行され成果を挙げた。一方で、平成29年度の研究計画中の「(3) 双曲型よどみ点をもつ密度成層流の直接数値シミュレーション」については、使用しているスーパーコンピュータの機種更新があったため、プログラム移植が遅れ、十分に計算を行うことができていない。これについては平成31年度に実行する。 一方で、平成30年度以降の計画の中で着手していないのは「(2-2) 密度成層および一様磁場下の双曲型よどみ点をもつ流れの不安定性」のみであり、研究期間内にすべての項目を実施できる見通しが立っていることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って進める。 研究計画の中で他の項目に影響を与えるものについてはすべて計画通り実施し、予想通りの結果を得ている。また、「(2) 複合的な効果によるパラメタ共鳴不安定性の解明」の一部を前倒しして実行済みである。このため、当初の研究計画に沿って進めることで本研究の目的を達成できると考えられる。 今後はまず遅れている平成29年度の「(3) 双曲型よどみ点をもつ密度成層流の直接数値シミュレーション」を進める。プログラムの移植は終了したので、計算性能が大幅に向上したスーパーコンピュータ(旧システムの約23倍)を利用することにより、遅れは十分に挽回できると考えられる。進み具合によっては、回転流、電磁流体の場合の直接数値シミュレーションを追加で行う。
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Causes of Carryover |
旅費はほぼ予定通りであったが、論文投稿料が予定より少額であったため次年度使用額が生じた。 一方で、本研究開始後に、本研究の成果発表を行うのに相応しい国際会議(IUTAM symposium, サンディエゴ(米国))の開催が決定し、招待講演を依頼されたため、次年度使用額分はこの国際会議の参加のための旅費として使用する。
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