2022 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental Study on Long-Distance Electric Discharge Formation by laser breakdown
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17K05733
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大熊 康典 日本大学, 生産工学部, 教授 (80287581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 火花放電 / レーザープラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レンズで集光したレーザーを照射して気体をプラズマ化させ、これを放電路の中継点とすることで、パッシェン則によって決まる従来の火花放電よりも放電電極間距離の長い火花放電を発生させる手法を確立することを目的としている。 本年度は、電極間の電圧印加開始時間を基準(0μs)としたレーザー照射のタイミング(Δt)をパラメータとして、放電確率 100%を維持する最大電極間距離における、レーザープラズマの発生から放電が起こるまでに要する時間や放電特性などを体系的に計測した。また、Intensified CCD カメラを利用してレーザーブレイクダウンとそれによって引き起こされる放電の画像を取得し、レーザープラズマが放電に及ぼす影響を調べた。その結果、最長放電距離は電極間に印加する正弦波電圧が最大値となる付近の時間(Δt=+60μs)でレーザーを照射した場合に得られることや、Δt=+60μs付近を境にして、レーザープラズマの支援が強く作用する場合(Δt=~+60μs)とレーザー照射時の印加電圧値が強く作用する場合(Δt=+60μs~)があることが示唆された。また、放電画像の解析から、レーザー照射以降に時々刻々変化するレーザープラズマの発光強度や形状が火花放電の放電路の形成と伸長に強く影響していることや、Δtと電極間距離の関係からレーザープラズマの支援効果が120μs以上持続していることが明らかとなった。 研究期間全体を通じて、レーザーで生成するプラズマの衝撃波方向と電極間に印加する電圧方向との関係や、レーザープラズマの形成過程と電極間に印加する電圧のタイミングが、放電電極間距離の長い火花放電の発生に強く影響していることが明らかとなり、このことから、火花放電の電極間距離を制御する手法を確立すると共に、放電路の長尺化に対するエネルギー効率の最適化を検討する際に必要となる成果が得られた。
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