2018 Fiscal Year Research-status Report
機能性分子合成を指向する炭素-水素結合の直截的変換手法の開発
Project/Area Number |
17K05855
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
秦 猛志 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40419271)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C-H結合活性化 / 遷移金属触媒 / パラジウム / 鉄 / ヘテロπ共役分子 / テトラゾール / ベンゾイミダゾール / ベンゾオキサアゼピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,これまでの研究成果(Rh触媒 (J. Am. Chem. Soc. (2009年),Chem. Eur. J. (2014年),Chem. Eur. J. (2016年)),Y触媒 (Angew. Chem. Int. Ed. (2010年),Chem. Eur. J. (2015年)), Pd触媒 (Angew. Chem. Int. Ed. (2012年),Heterocycles (2015年)), Fe触媒 (Adv. Synth. Catal. (2012年))),および予備的知見をもとに,遷移金属触媒による炭素-水素(C-H)結合の直截的変換反応を開発すること,および得られた生成物を利用して,機能性物質を効率的に合成することを全体の構想とし,鋭意検討した.特に平成30年度は.以下の3項目に関して研究を推進し,それぞれの項目で成果を得ることができた.1) ビステトラゾール誘導体のハロアセチレンへの位置および立体選択的ダブル求核付加とPd触媒のダブルC-H結合活性化により,2つのテトラゾール環が融着したヘテロπ共役分子を短工程で合成する手法を見出した.2) テトラゾール置換フェノールのハロアセチレンへの位置および立体選択的ダブル求核付加と分子内転位により,テトラゾール環が融着した多環性π共役分子を短工程で合成する手法を見出した.3) ニトロアレーンとアリールグリニャール試薬から発生したナイトレンのC-H結合活性化,または分子内転位反応により得られたベンゾイミダゾール誘導体のポリアリール化および酸化的環化によりヘテロπ共役分子を合成する手法を見出した(日本化学会秋季事業第8回化学フェスタにてポスター発表済み)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究の成果として,以下の結果が得られた.1) ビステトラゾール置換ベンゼンと1-ブロモ-1-オクチンをDMF中K3PO4存在下で加熱すると,ダブル付加体が単一の異性体として得られ,続くPd触媒によるダブルC-H結合活性化により2つのテトラゾールが縮環したπ共役化合物が得られた.2) オルト位にテトラゾールが置換したフェノールと1-ブロモ-1-オクチンをDMF中K3PO4存在下で加熱すると,ハロアセチレンへのダブル付加,続く選択的分子内転位により,テトラゾールが融着したベンゾオキサアゼピン誘導体が単一の異性体として得られた.3) オルト位にピロリジンおよびトリフルオロアセチルアミド基が置換したポリハロニトロアレーンに対し,アリールグリニャール試薬を作用させると,ナイトレンによるC-H結合活性化または[5,5]転位により,多環性ベンゾイミダゾールが得られ,アリールホウ酸との鈴木・宮浦クロスカップリング反応によるポリアリール化,続くFeCl3による酸化的環化により,ベンゾイミダゾールが融着したπ共役分子が短工程で得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成31年度は,本研究の更なる飛躍を目指して,C-H結合の直截的変換反応の開発および応用利用をより一層検討する.特に,一部予備的知見で見出している以下の知見を集中的に展開する.具体的には,1) キラルRh触媒によるアリールアジド誘導体からの含窒素ヘテロ環合成の不斉触媒化および,生物活性分子合成をおこなう.2) Pd触媒によるダブルC-H結合活性化により含テトラゾール縮環π共役化合物の固体での蛍光発光特性を引き続き検討する.3) 平成30年度に見出したベンゾイミダゾールが融着したπ共役分子の更なる拡張を実施する.
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Causes of Carryover |
(理由) 他の大型予算(科学技術振興機構 戦略的研究推進事業 さきがけ)の獲得により,使用しない分が生じていたため. (使用計画) 研究加速のために,主に試薬品代や小型備品購入に使用する.
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Research Products
(5 results)