2017 Fiscal Year Research-status Report
らせん高分子の分子形態に立脚したキラル分離メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K05884
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 憲 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60334132)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光学分割 / 高分子 / らせん / 高速液体クロマトグラフィー / 光散乱 / 小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナンチオマーを用いた医薬品の需要は日々高まっており、ラセミ体の光学分離は重要な工程である。多糖カルバメート誘導体は、キラル分離の担体として圧倒的に高いシェアを維持しているが、その分子形態とキラル分離能の相関はほとんど調べられておらず、個々の試薬ごとに分離条件の探索が必要となる。本計画では、申請者らが詳細に調査した、線状鎖及び環状アミロース誘導体について得た、分子形態(らせん構造・剛直性)が置換基と溶剤に顕著に影響されること、線状鎖と環状鎖で異なる局所形態をとることをヒントに、それらの誘導体のキラル分離能の相関を明らかにすることを目的とする。 本年度は、溶液中の分子形態とキラル分離能を同じ溶媒中で調べることを可能にすることを目的として、比較的極性の低い有機溶剤に可溶な長鎖アルキル基をもつ線状及び環状アミロース誘導体の分子形態を決定した。側鎖間の立体反発のため、主鎖軸方向に比較的伸びた局所らせん構造を持つこと、そして、環状鎖のらせんが線状鎖よりもさらに顕著に伸ばされていることが明らかにされた。この結果についてはすでに論文にまとめPolymer誌に掲載された。特に物理吸着型カラムについては濃厚溶液の物性も重要であると考えられるため、そのリオトピック液晶性についても研究を進めている。 また、線状及び環状アミロースフェニルカルバメートについて物理吸着及び化学結合型の計4種類のカラムを調製し、それらのキラル分離能を調べた。環状鎖のキラル分離能が線状鎖とかなり顕著に異なることが明らかになった。今後、溶液中との分子形態との相関について研究を進める予定である。 さらに、主鎖の剛直ならせん構造からキラル分離への応用も期待される、ポリ(キノキサリン2,3-ジイル)について、線状及び星形の試料を調製し、それらの分子形態および液晶性を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①線状及び環状アミロースの希薄溶液挙動についての研究をほぼ完了し、論文の執筆に至った。 ②2つのアミロース誘導体についてカラムの調製及びその機能評価をほぼ終えつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに遂行する。
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Causes of Carryover |
研究室に既存の装置などを工夫して使用し、研究費の使用額を節減したため。ただし今後これらの修理費用が発生することも予想される。
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Research Products
(32 results)