2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05974
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
船曳 一正 岐阜大学, 工学部, 教授 (50273123)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機光学材料 / 色素増感型太陽電池 / 近赤外光吸収有機色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまでに太陽光の赤外領域のみを吸収する新しい色素に注目、研究開発を実施し、その結果、可視光領域に吸収をもたず、800 nm付近にのみ吸収極大を持つ新規な有機色素の開発に成功した。さらに、この独自の色素/半導体複合薄膜を光電極として、ヨウ素系レドックス対の色素増感型太陽電池(DSSC)を作製したところ、赤外光のみで発電する新しいDSSCの糸口を見つけることができ、最適部材とその使用条件の最適化により、その変換効率は、2.42%にまで向上した。この変換効率は赤外光の光電変換効率として世界一である。さらに、申請者はこの色素/半導体複合薄膜を光電極に用いるDSSCにおいて、使用するヨウ素系レドックス対 のかわりに、無色透明スルフィド系有機レドックス対を用いることにより、国内外を通じて本研究グループ以外からは報告されていない独自性、新規性の高いDSSCを開発した。これを実用化できれば、可視光を透過するDSSCとして新たな用途が期待できる。しかしながら、その性能(変換効率、耐久性)は十分ではなく、実用化のためには更なる性能向上が必要である。 本研究では広帯域の赤外を吸収する色素ポリマーの分子設計とそれを用いたDSSCの開発を目的とした。 実施内容としては、アンカー基を持たない赤外吸収色素モノマーを合成し、そのポリマー化を実施した。その結果、重合度は低いものの、モノマー色素に比べて、1) 吸収スペクトルの最大吸収波長が780 nmから965 nmまで長波長シフト、2) 吸収幅も200 nmから600 nmに拡大。することを明らかにした。さらに、この赤外吸収色素ポリマーにアンカー基を導入し、色素増感型太陽電池に利用したところ、わずかながらではあるが、近赤外領域で、光電変換できることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)分子軌道法を用いた広帯域赤外吸収色素ポリマーの分子設計と2)広帯域赤外吸収色素ポリマー原料(モノマー)の合成を計画していたが、モノマー合成だけでなく、そのポリマー化も実施した。その結果、重合度は低いものの、モノマー色素に比べて、1) 吸収スペクトルの最大吸収波長が780 nmから965 nmまで長波長シフト、2) 吸収幅も200 nmから600 nmに拡大。することを明らかにした。さらに、この赤外吸収色素ポリマーにアンカー基を導入し、色素増感型太陽電池に利用したところ、わずかながらではあるが、近赤外領域で、光電変換できることも明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した色素ポリマーは、重合度が低く、かつ、共役の長さに比べて導入されたアルキル基が小さいため、溶解性が非常に悪い。これらの低い重合度および溶解性を改善するために、色素モノマーの分子設計とポリマー合成の条件の最適化を実施する。具体的には、分子設計として、長鎖アルキル基を有する赤外吸収色素の原料モノマーの合成、ポリマー合成の条件最適化としては、反応温度や反応時間の検討、から着手する。その後、色素ポリマーの吸収スペクトル(UV-Vis)、サイクリックボルタンメトリー(酸化電位、還元電位)、色素溶液の光安定性、色素の熱安定性(TG-DTA)、を測定する。その結果を踏まえ、合成計画に直ちにフィードバックし各種性能向上を図る。
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Research Products
(22 results)