2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of functional polymers using structure transcription polymerization with life forms and liquid crystals
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17K05985
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 博正 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40292528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウイルス / 微生物 / クオラムセンシング / 重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
fdファージを培養し、これを電解液にしてポリピロールを合成した。ピロールの合成には電解重合法を用いた。得られたポリマーの電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリーで測定した。また得られたポリマーの表面観察を走査型電子顕微鏡で行った。その結果ウイルス集合体の形を転写した形態のポリマーを得た。 また棒状の細菌溶液を電解液として用いて、ポリジオキシチオフェン、ポリピロールの合成を行い、微生物とポリマーフィルムのコンポジットを作成した。この表面構造を観察した。 微生物のコロニー間でシグナルを発信し、通信を行う物質であるクオラムセンシング物質を助触媒に用いてポリフェニルアセチレンを合成することができた。これにより微生物の代謝する化学物質を用いた高分子合成に成功した。 生体物質由来であるヒドロキシプロピルセルロースの液晶状態で電解重合を行い、電気的に活性な光学活性コンポジットを作製した。この光学的測定および電気化学的測定を行い、得られたコンポジットの特性を評価した。 レシチン(lecithin)はホスファチジルコリンの通称であるが、リン脂質を含めた総称としても使われる。一般の細胞中に存在している生体分子で、生体膜の構成成分である。また界面活性剤としての特性をもち、ミセルを形成する。レシチンは液晶を形成するとともに界面活性剤であるので油溶性物質の反応場としても用いることができる。このレシチン液晶反応場を用いてポリアニリンを合成した。得られたポリマーの走査型電子顕微鏡を行い、新しい形状をもつ針状のポリアニリンの形態を確認した。紫外・可視分光法、赤外分光法測定によりポリアニリン-レシチンコンポジットが形成されていることを確認した。また、熱分析、四探針法による導電率測定などによる物性等の評価・観察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
微生物を重合溶液に用いる手法の確立に成功した。また微生物間のシグナル物質を助触媒に用いることもできた。微生物の培養方法も確立し、今後に微生物を重合反応溶液として多くの量を用いる見通しがついた。また液晶系を用いた電解重合の合成も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ライオトロピック液晶およびサーモトロピック液晶中での重合反応の探索を継続するとともにウイルスの結晶状態を反応場とするウイルス結晶重合を行う。また光異性を行うモノマーを合成液晶および微生物反応場に適用し新しい形態をもつ合成高分子を作成して行く。
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Causes of Carryover |
今年度は、実験業務に専念したために、旅費を使用しなかった。また機器等も購入しなかったことと、試薬類も最小限に抑えたために支出が少なくなった。さらにウイルスの使用やライオトロピック液晶であるヒドロキシプロピルセルロースを用いた研究を主に行ったために試薬代を大きくは使用しなかった。 翌年度はサーモトロピック液晶である5CBやITOガラス類およびガラス器具類の購入を行うため、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。また研究成果発表を行うために旅費も多く使用する計画である。
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