2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of functional polymers using structure transcription polymerization with life forms and liquid crystals
Project/Area Number |
17K05985
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 博正 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40292528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 液晶 / ウイルス / 菌体 / 導電性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスや菌体を電解液に用いて重合を行う際に、モノマー種を変え、得られたポリマーの形態を比較した。モノマーとしてピロールを用いた場合、良好に重合が進行したが、エチレンジオキシチオフェンおよびアニリンからはよい薄膜を得ることができなかった。これは重合活性の低さが原因であると思われる。今後今までに開発した、化学重合と電解重合を連続して行う方法(二重重合法)を用いてピロールおよびエチレンジオキシチオフェンの重合を、ウイルス中で行う。この方法は塩化鉄などのルイス酸酸化剤で短時間中にオリゴマーを電解液中で合成する。このオリゴマーは直線的なので、反応場の液晶のダイレクターに沿って配向する。この状態で電解重合を行い、オリゴマーからポリマーに成長させ、自立支持フィルムを合成する。この時、ウイルス反応場および合成液晶系のマトリックスの巨視的形態を良好に転写することができる。ウイルスから得たポリピロールの薄膜は繊維状を形成していた。さらにウイルスが結晶化し、この乳酸菌などのウイルスの結晶体中においても電解合成が可能であることが分かった。ウイルスよりサイズの大きな菌体を反応場とした電解重合にも成功した。さらにツイストグレインバウンダリー(TGBA)液晶相をもつ液晶反応場の合成にも成功した。今後はこの反応場を用いて電解重合を行う。また、合成系液晶を用いた円偏光発光性を制御することのできる液晶素子や天然セルロース系液晶を反応場とした電解重合による回折機能をもつ高分子の合成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウイルスを反応場として用いるための十分なサンプル量を得た。またこのウイルスを反応場として、ポリピロールおよびポリアニリンを合成した。その表面構造を光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察した。さらに液晶反応場を用いて共役系高分子の電解重合を行った。この中で常磁性種をもつモノマーを電解重合し、磁性高分子を得た。さらに、セルロース系液晶を反応場として、回折機能をもつ高分子を合成した。以上のように生命体および合成液晶系を反応場として、機能性モノマーを重合することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きウイルス反応場の量産を行う。電解重合をここで行い、得られた高分子の表面構造を観察する。また、TGBA相や高次のスメクティック相を反応場として用いて光学活性で外部電場により円偏光二色性や光学回転を制御できる高分子を合成する。さらに細胞表面での電解合成を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度よりの研究費を今年度使うことができたため、2年目の本年は大幅に研究が進展した。しかしポリエチレンジオキシチオフェンおよびポリアニリンのウイルス中での電解重合は良好に進行しなかったため、ポリピロールの合成や、天然ライオトロピック液晶中での研究を今年度は中心に進めた。一方合成液晶中での合成は予想以上に進展した。25900円の次年度使用額は、試薬の購入に用いる。
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