2020 Fiscal Year Research-status Report
温度・変位制御機能と高い熱的安定性を有する超高速高剛性水静圧スピンドルの開発
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17K06093
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
中尾 陽一 神奈川大学, 工学部, 教授 (00260993)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 工作機械 / 温度制御 / 静圧軸受 / 熱的安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微細形状を有する金型を含む各種精密部品の加工用途に適した、これまでのスピンドル性能を大きく上回る高速高剛性スピンドルの開発を目的にして実施している。特に、高い加工精度を達成するために、高い熱的安定性を有するスピンドル開発を目指している.具体的には、10 万min-1の超高速回転時においても、スピンドルの初期温度が保てるようにスピンドルの基本設計を目指している。さらに、チラーの温度制御性能を超える高精度高応答水温制御系に加え、スピンドル温度のフィードバック制御機能を具備させることによって、従来にない高性能スピンドルシステムの実現を図ろうとするものである。今年度の主な研究実績の概要は次の通りである。 1. 高速高剛性水静圧スピンドルのフィードバック温度制御 定格回転数10万min-1で高い軸受剛性を有し、さらに、熱的安定性に優れたスピンドルのフィードバック温度制御に関する研究は、実験および理論的検討が順調に進んでいる。具体的には、スピンドルに設置した温度センサからの温度を開発したコントローラにフィードバックし、この情報に基づいて、独自開発の温度制御システムに組み込んだ2つの流量制御弁の制御を実施し、良好な温度制御性能が得られることを実証した。 2. スピンドルの軸心冷却構造の評価 本研究では,特殊構造の冷却構造を回転するロータに具備させている。その冷却特性を検討するために、スピンドルの冷却機構に関する温度予測については、3Dモデル開発によるシミュレーションを実施し、回転数変化に伴う冷却特性の変化などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スピンドルのフィードバック温度制御に関する研究は,実験および理論的検討が順調に進んでいる.また,スピンドルの冷却機構に関する温度予測については,3Dモデル開発によるシミュレーションが実施され,成果が出つつある. 一方,スピンドルの開発については,コロナ禍における学内閉鎖などの影響もあり,計画よりも遅れた状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,以下の計画に沿って次の研究課題に取り組む予定である. 1. 高速回転する静圧スピンドルの特殊構造を有する軸心冷却機能の検証 本研究で考案,開発した特殊構造を有する軸心冷却機能について,3Dモデルによる数値シミュレーションと実験により,熱的安定性の評価検証を行う.また,今後の同様な構造を有するスピンドル開発を行う際に有用となる有効な設計指針の提示を目指す. 2. ナノ分解能を有する軸受変位制御系の開発 本研究では,スピンドルの軸変位機能を具備させることを目指している.本研究ではこれを2つの方法での実現を検討する. すなわち,第一の方法は,回転させるロータ変位を静圧軸受の能動的制御によりナノオーダ分解能で制御する手法である.また,第二の方法として,スピンドル構造にピエゾアクチュエータを内蔵させてこれを制御する手法である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により学内入構禁止措置が発令されたため、予定していた実験等が実施できなくなったため。次年度は、計画していた実験開始の準備が整いつつあるため、研究計画に基づいて研究費を使用する計画である。
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Research Products
(10 results)