2018 Fiscal Year Research-status Report
High quality dissimilar joining using stress relaxation insert layer of porous structure with low thermal expansion fabricated by metal additive manufacturing
Project/Area Number |
17K06097
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
池庄司 敏孝 近畿大学, 次世代基盤技術研究所, 准教授 (40302939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多孔質体 / 積層造形 / レーザ / Ni基合金 / Ni基ろう材 / 非定常伝熱解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではNi基合金とC/C複合材の高品位異材接合を達成するために応力緩和層として低熱膨張係数の多孔質体を金属3D積層造形を目的とするが,2018年度はNi基ろう材による低熱膨張多孔質体の試作とC/C複合材への接合を目標とした。 2種のNi基ろう材,Ni-Cr-Nb合金,Ni-Cr-Si合金の粉体を用いて,それぞれにレーザ式粉体床型金属3D積層造形装置(LB-PBF)にて薄膜形成と多孔質体造形を試みた。その結果,薄膜は形成できるもののレーザ出力,レーザ走査速度の造形条件範囲は極めて狭く,安定した薄膜製造には造形装置のレーザ出力の誤差範囲±5%では困難であることが明らかになった。また,造形条件範囲が狭いこととろう材自体の熱収縮によって3次元構造体の造形は困難であることが明らかになった。そのため,3次元多孔質体の設計にはFEM解析時に用いるろう材の熱膨張係数を測定する必要に迫られた。 Ni基ろう材の熱膨張係数測定には粉体ろう材からバルク体インゴットを製造する必要がある。坩堝での加熱,アーク溶解炉を試みたところ粉体は溶解しなかったため,外部機関に委託してHIP処理をした。HIP処理条件もNiろう材はNi基合金圧延材と性質が異なるため,試行錯誤を繰り返した。 一方,3次元多孔質体を3次元造形する際の多孔質体中の梁部材の幅,壁部材の厚さが小さく造形できないことが明らかになった。レーザスポット径をφ0.2mmとし,幅,厚さを同程度と仮定してNi基合金3次元多孔質体の設計検討を行っていたが,実際には0.4mm程度が最小と明らかになった。そこで,非定常熱伝導解析に溶融凝固を加味したFEM解析を実施し,スポット径と梁幅,壁厚みの関係を調査した。その結果,スポット径φD mmに対して概ね2D~2.5Dが最小であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度はNi基ろう材による低熱膨張多孔質体の試作とC/C複合材への接合を目標としたが接合試験に至っていない為やや遅れているとした。 1)Ni基ろう材粉体のレーザ式粉体床溶融法金属3D造形による成形ろう材の作成 成形ろう材を作成,使用することにより作業効率が向上を図ったが,Ni基ろう材粉体の造形条件範囲(プロセスマップ)を得ることに期日を要した。更に,造形条件範囲が狭く成形ろう材作成が困難である。ことが判明した。 2)Ni基ろう材粉体のレーザ式粉体床溶融法金属3D造形による3次元多孔質体の作成 Ni基ろう材粉体を用いた3次元多孔質体の造形は造形条件範囲の狭さもあり,多数試みるものの,5mm程度の造形にとどまった。 3)Ni基ろう材粉体の熱膨張係数測定 粉体ろう材からバルク体インゴットの製造に期日を要した。坩堝での加熱,アーク溶解炉での加熱を試みたが十分な溶解をせずにインゴットを製造できなかった。結局,研究費を投じて外部機関にHIP処理を委託したが,Ni基ろう材HIP処理条件の知見がないため,試行錯誤を繰り返した。 4)3次元多孔質体の造形体の梁部材の幅,壁部材の厚さが設計通りに小さく造形できず,レーザ照射条件等を変更して試行を繰り返した。また,数値計算による確認をしたため,数値計算コードの作成と検証に期日を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は3次元多孔質体をNi基合金とC/C複合材の間に中間材として挿入してろう付し接合体の性質を調べることと,低熱膨張係数多孔質体の設計とそれを用いた接合体を得ることを目標とする。 そのために,ろう材粉体を3次元積層造形することで成形ろう材を作成する試みと,ろう材による3次元多孔質体の製造は一時的に中断する。そもそも,成形造材の作成は作業性の向上を目標としたものであり,本研究の内,副次的な題目であった。また,成形ろう材による3次元多孔質体の製造そのものの必要性も低いためである。多孔質体などの複雑形状を作成してもろう材はろう付中に溶解するからである。 Ni基ろう材の熱膨張係数測定は早急に遂行する。すでに,HIP処理によるインゴットが作成終了している為,試験片形状への加工を経て,速やかに測定を行う。 Ni基ろう材の性質を調査したのち,低熱膨張率多孔質体の候補モデルを用いた接合体の数値解析を実施し,造形する多孔質体モデルを決定する。
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Causes of Carryover |
総じて,(1)のインゴット作成委託料が不明瞭だっため他の支出を控えたことにより次年度使用額が生じた。 1)Ni基ろう材の熱膨張係数測定のためのHIP法によるインゴット作成が年度末になされたため,支出は次年度となった。インゴット作成の試行が作成方法の選定,作成条件の調査が難航し,委託料が不明瞭だったたため他の支出を控えた。 2)真空ろう付け装置の構築費用が計上されていないため。真空ろう付け装置は加熱装置の選定を行ったが,今年度は接合試験を行わなかったため,発注は次年度とした。 3)多孔質体造形の造形条件調査に用いた粉体は,①Ni基ろう材粉体は現有のもので行った。②Ni基合金(Inconel718)粉体は現有のものやリサイクル品で行った。
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