2020 Fiscal Year Research-status Report
日本刀の「美」の科学的解明とそれに基づく新しい作刀評価・設計法の提案と実証
| Project/Area Number |
17K06129
|
|---|
| Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
石川 憲一 金沢工業大学, 明倫館, 名誉学長・教授 (00064452)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畝田 道雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00298324)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 日本刀 / 美 / 作刀評価 / 設計法 / 作刀 / AI / 3次元形状分析と設計 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度における本申請研究は，これまでの研究から継続して，現代刀匠による新作日本刀のデジタルアーカイブとそれに基づく分析を行うとともに，第2次新作日本刀の設計と製作（作刀）を行った．具体的な実施項目は次のとおりである．
(1)新作日本刀の2次元的な特徴を①刃長，②鋒長さ（長手方法），③鋒長さ（長手と垂直方向），④元幅，⑤反り，として数値化するとともに，新作日本刀の作風を含めて，過去10年間にわたる日本刀展覧会での受賞順位との対応をリスト化した．
(2)上記(1)で作ったリストをニューラルネットワークによって構成したAIに入力し学習プロセスを経ることで，AIによって最適な日本刀の各部位（①～⑤）の寸法を抽出することに成功するとともに，その妥当性を確認し，考察した．さらには，AIによって審査傾向の可視化にも成功した．
(3)本研究で設計・製作（作刀）された第1次新作日本刀の断面形状測定を行うとともに，長手方向に対するその傾向を調査することによって，長手方向と断面形状の関係に関する詳細な定式化を行った．
(4)上記(2)と(3)の結果に基づいて，第1次新作日本刀の設計は2次元で留まったことに対して，第2次新作日本刀はAI導入と3次元による設計法の確立に成功した．そして，刀匠へ図面提出するとともに，それに忠実に基づいた作刀を依頼し，刀剣研師の協力も得て，第2次新作日本刀の製作（作刀）を完成させた．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は研究実績の概要で記したとおりであり，一定の成果を得ることができている．なお，新型コロナウィルスの感染拡大に伴い，刀匠らとの対面による打ち合わせは実施できなかったが，オンラインツールを幾度と活用し，研究が順調に進むように努めた．
|
| Strategy for Future Research Activity |
申請調書にも記載したとおり，多様な専門を有する人的ネットワークを活用しつつ，独創性ある本研究を進展・完成させるよう努める．とりわけ，第2次新作日本刀の第三者評価は令和3年度に受審することになっており，日本刀展覧会が開催される展示館で第2次新作日本刀の特別展示ブースが設けられることにもなっている．科研費による研究プロジェクトの成果であることを，展示館来訪者へ伝えることができるように努めたい．
|
| Causes of Carryover |
既述したとおり，令和3年度に第2次新作日本刀の第三者評価を受けることになっていることから，主として旅費（予定）に加えて，第三者評価を含めた成果の対外発表費（学会参加費や論文投稿料）として使用するための次年度使用額が生じている．しかしながら，本研究は新型コロナウィルスの感染に伴う展覧会の中止（令和2年度）に伴う第2次新作日本刀の作刀年度の予定変更が余儀なくされたことを除いては，ほぼ計画通りに進展しており，特段の問題は無いと判断している．
|
