2018 Fiscal Year Research-status Report
Numerical Method for the Unsteady Multiphase Flow and the Collapsing Behavior of Cavitation Bubble
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17K06164
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
申 炳録 宮崎大学, 工学部, 教授 (30235767)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 流体工学 / 数値流体力学 / 気液混相流 / キャビテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
圧縮性-非圧縮性混在の気液二相流の解析には,圧縮性流れの解法をベースに非圧縮性流れが扱えるよう工夫された数値解法が適している.このような解法に前処理法を導入した差分解法があるが,この前処理解法は時間積分を修正するため,気泡崩壊の非定常挙動の解明が難しく正しい解を求めるには非効率的である.そこで,本研究では時間の整合性を保つ非定常気液混相流のための数値解法の開発を計画した. 先ず,前年度に提案した時間に対して整合性を有する数値解法を衝撃波管問題など幾つかのベンチマーク問題を通して新しい解法の評価を行った.その結果,全体的に圧縮性-非圧縮性混在の気液二相流問題への解法の受容性,妥当性,有効性があることを確認した.しかし,非定常問題に対する時間精度は改善されたが安定性はやや劣る傾向を示した.これは数値粘性項を前処理するとき現れるヤコビ行列の構成に起因することが分かり更なる改善の余地を残した.次に,微小空気泡のような非凝縮気泡が混在するキャビテーション流れの解析をより現実的なものにするため,水-蒸気-空気系の状態方程式の考案に取り掛かった.これには,申請者らにより既提案した水系キャビテーションのための水-蒸気系の状態方程式に非凝縮ガスの項を加えることで水-蒸気-非凝縮ガスの二相多成分対応の方程式の導出を試みた.この導出においては水-蒸気系の式と同様に気液均質媒体モデルを用い,先ずは蒸気,水,空気に対して密度とボイド率による線形結合式を導き状態方程式を構成した.この状態方程式で定式化した基礎方程式を前年度に提案した数値解法に適用して衝撃波管の問題を解き,空気の含有率に沿う解が得られることを確認できた.今後2次元,3次元に拡張することで非凝縮ガスや相変化を伴なうキャビテーション流れや気泡崩壊問題の解析に有効な手法になると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように,水-蒸気-非凝縮ガス系状態方程式の考案と表面張力モデルの導入に関する研究が予定通り順調に進展している.また,前年度に提案した新しい数値解法による2次元気液混相媒体の定常・非定常流れの解析は衝撃波による単一気泡の崩壊問題を用いその有効性を調べた.これらの研究結果の一部はアメリカ熱流体工学会主催の流れの数値解析国際会議(9月予定)で発表する予定である.しかし,新しく現れた数値粘性項の前処理に関連する問題は改善する必要がある.一方,基礎方程式に組み込んだ表面張力モデルや相変化モデルの評価のため,現在気泡崩問題計算の2次元解析コードの開発に取り組んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に提案した新たな気液混相流のための数値解法をキャビテーション流れなどより具体的な多次元混相媒体の流れ問題に応用し,実際流れへの適用性を検討することになる.そのため,先ずいままで検討してきた非定常気液混相流のための数値解法を既存の気泡崩壊問題に適用し多次元問題への拡張・受容性について検討するとともに必要に応じて解法の修正補完を行う.次に,キャビテーション気泡が水中または自由表面近傍,物体近傍で崩壊する場合の問題に展開し,気泡周りの圧力分布,圧力波・膨張波の詳細な伝播過程,2次キャビテーションの形成,衝撃波と気泡の相互干渉など気泡崩壊に係る超高速物理現象の詳細をどこまで得られるかそのための研究推進方策が考えられる.
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議(7月にスペインのバルセロナにて開催されたICCFD10,International Conference on Computational Fluid Dynamics)に日程重複により参加できなかったことと,解法の評価のための1次元衝撃波管問題の計算を主に本研究費で購入したコンピュータで行い,多次元の計算のため予定していた大規模計算用のスーパーコンピュータの使用を最小限に抑えたためである. これらの研究費は多次元気液混相媒体の非定常問題の大規模計算関連費用およびデータ処理のための設備備品費,学会参加費,論文投稿費などに充当する.
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Research Products
(9 results)