2017 Fiscal Year Research-status Report
Flexible mobile robot for inspection driven by ciliary actuators
Project/Area Number |
17K06255
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 仁 東京工業大学, 工学院, 助教 (60376944)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 水力学的骨格 / 柔軟袋状構造 / 機械式多分岐弁 / 全方向移動ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではミミズやイソギンチャクなどの生物に見られる水力学的骨格を、ウレタンゴムシートを超音波溶着によって袋状に加工したもので模倣する。これを利用した柔軟移動ロボットを含めた機械システムの研究、開発を行った。 具体的内容を下記に列挙する。 1.Z字状に折れ曲がった複雑な形状を有する1気室型の繊毛アクチュエータを量産する目的で、金属型や、紙を利用して選択的に溶着箇所を指定することでアクチュエータの加工に必要な時間の短縮を図った。 2.複数のアクチュエータを協調的に同時制御する目的の機械式多分岐弁"MACS-Valve"の弁構造を改良し、これまでカムを利用した弁の層数が2層までだった制限をなくす構造とし、理論的にはいくらでも積層可能な設計とした。この機械式弁の試作を行い、3層のカムで同時に12の管路の同時制御を実現した。 3.柔軟袋状構造の表面に上記1.で製作した繊毛アクチュエータを複数貼り付けた長方形の駆動ユニットを正方形の周上に配置することで、四辺にクローラが配置されたのと同様な構造となった、超心地旋回も可能な四角形の扁平な全方向移動ロボットを提案した。このロボットは正方形の中心部に配置された柔軟能動関節群によって駆動ユニットを選択的に上下することも可能であり、移動に利用しない方向の繊毛アクチュエータを有する駆動ユニットは地面から浮上する構造になっている。この機能によって効率的な平面移動や、段差乗り越え動作などが期待される。試作機ではリフティング機能を利用することで、平面上で1.5 mm/sだった移動速度が4.2 mm/sまで向上することが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は従来製作に技術と時間を要していた1気室のZ字型柔軟繊毛アクチュエータの効率的な加工方法を確立しただけでなく、これまで機械式多分岐弁の制御可能なアクチュエータ数の制限を理論的になくす構造の試作品を完成した。これらは繊毛移動ロボットの要素技術として非常に実用的なものである。 また、扁平な柔軟繊毛移動ロボットについては、正方形の4辺に配置された駆動ユニットを利用して超信地旋回も含めた全方向移動を実現するだけでなく、リフティング機能によって接地する駆動ユニットを選択することで効率的な移動も実現している。 これらの成果は研究計画の提案当初に予定していた以上であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
水力学的骨格の様な柔軟構造は大変形を伴うため、駆動時の挙動を解析することは通常非常に困難である。しかし、近年の計算機技術の進歩による非線形有限要素解析を利用することで、この種の大変形問題は一部解析可能になってきている。 本研究ではこれを利用して、柔軟繊毛アクチュエータの挙動を解析してより効率的な駆動が可能なアクチュエータのサイズや入力圧力などを同定することで性能向上を試みる。 また、今回試作した機械式多分岐弁について、やはり今回試作した全方向移動ロボット用にアクチュエータ数やタイミングなどを最適化したものを設計し、これを搭載することでロボットの性能向上を試みる。
|
Causes of Carryover |
当該年度では海外での成果発表がなかったため、予定より旅費の支出が少なくなった。また、初年度であるため雑誌論文の投稿までには至らず、その他の費用の支出が少なかったため。
|
Research Products
(3 results)