2018 Fiscal Year Research-status Report
ワイヤ懸垂構造を利用した3台のロボットによる協調組み付けシステムの開発
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17K06272
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大隅 久 中央大学, 理工学部, 教授 (00203779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相山 康道 筑波大学, システム情報系, 教授 (60272374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パラレルワイヤ懸垂系 / 協調制御システム / 組み付け / コンプライアンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,3台のマニピュレータの協調制御により,円筒形重量物の丸穴への挿入,及び引き抜きを実現するためのシステム開発を目的としている。各マニピュレータ先端から懸垂物に2本のワイヤを張り,懸垂物を6本のワイヤで懸垂することで,懸垂物に振り子振動が発生せず,マニピュレータの単純な位置制御だけで,懸垂物の位置決めが可能となる。平成30年度は,懸垂物の挿入作業時に懸垂物と穴が接触した際の,懸垂物のフィードバック制御アルゴリズムを構築し,開発した実験システムによりその妥当性の検証を行った。まず,前年度に明らかにした,穴と円筒の接触点の位置と懸垂物の姿勢,ワイヤに発生するたわみの関係から,穴と円筒の接触位置の推定を行い,その情報を基に,穴位置が当初モデルからどれだけずれているかを求めるアルゴリズムを構築した。それと並行して,懸垂物の位置・姿勢を正確に測定するためのセンサシステムを構築した。懸垂物の姿勢測定には高精度のIMUセンサを利用し,また,マニピュレータと懸垂物の3次元の位置計測のために,高精度カメラを2台利用した画像処理システムを導入した。実験では,まず3次元位置計測システムにより3台のマニピュレータ先端位置を計測してそれらの位置誤差を補正した後,挿入動作を開始した。懸垂物と穴の接触の検出にはIMUから得られる姿勢の変化を利用した。更に,マニピュレータ手先の力センサから得られるワイヤのたわみ情報を利用することで,接触点の位置を正しく推定できることを示した。最後にそれらの情報より,目標の釣り合い位置を穴位置に合わせて修正することで,挿入作業を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,29年度に解析した懸垂物と挿入穴の接触,懸垂物の傾き,及びワイヤのたわみの関係を利用し,実際のシステムで挿入作業を実現することを当初としている。この実現のためにIMUと画像処理システムを選定,導入し,それらの値を利用して挿入作業の実現が達成された。ただし,引き抜きの際に発生する穴と棒の食い付きの力学的な解析,及びそれを回避するためのアルゴリズムに関しては最終年度である本年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度であり,これまでに開発された3台のマニピュレータの協調システムを利用した円筒形重量物の丸穴からの引き抜きを実現する。そのために,引き抜き時に,3台のマニピュレータ間の相対位置誤差によって発生する懸垂物の傾きと,懸垂物の穴への引っかかりの発生条件を明らかにする。その結果を利用して,引っ掛かりを回避するための動作アルゴリズムを構築し,導入したセンサ系で実現可能であることを検証する。
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Causes of Carryover |
懸垂物の位置,姿勢の正確な計測のためのセンサシステムを主な支出として予定し,TOFカメラ,ステレオビジョン等の候補を検討した結果,カメラを2台利用した計測システムを利用することと決定した。その際,2台のうち1台のカメラは既存のものを流用することが可能であったことから,次年度使用額が発生した。最終年度となる本年度は引き抜き作業が実験の中心となり,ワイヤ張力を個別に計測する必要があり,そのための支出として次年度使用額と同等の出費が見込まれる。
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