2018 Fiscal Year Research-status Report
精緻な構造制御による超軽量高導電CNTケーブルの創成
Project/Area Number |
17K06344
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
竹内 健司 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20504658)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 導電ケーブル |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)は、他に類を見ない極めて特異なナノ構造や物性を有しており、基礎科学と応用の両面から期待されている。しかしながら、CNTの撚り糸は得られているが、未だCNT本来の優れた物性を生かした銅レベルの導電性は得られていないのが現状である。そこで、本研究では理論的に高導電性が期待される二層CNTを用いて、①高結晶化(欠陥を出来る限り無くす)、②巨大バンドル化、③CNT単体の長尺化、④徹底した不純物除去(アモルファスカーボン、触媒など)をぞれぞれ達成することでCNT電線としての基礎技術を確立する。2年目の平成30年度は、昨年度の成果を踏まえて①触媒CVD法による精緻な構造制御(反応空間拡大)、②CNTの構造解析(SEM, Raman)および導電性評価を実施した。すなわち、CNTの長尺化や収量を目的に反応空間の拡大を行った(既存3ゾーン電気炉に新規に3ゾーン横型炉を追加導入して2台連結)。それによって、反応空間を1ゾーンから6ゾーンまで増やして同一条件で比較実験を行った。ゾーン数が増えるほどCNT収量が増え、6ゾーンでの生成でCNT収量が最大になることが分かった。また、現在解析中であるが、反応空間とCNTの長さも関係していると推測される。また、反応管サイズ(100mmΦ)を見直して小径反応管(25mmΦ)を用いることでCNT生成の精緻な構造制御が可能となり、再現性や安定性が向上した。新たな試みとして一般にキャリアガスは水素が不可欠だが、炭素源にアセトンを用いることで水素からアルゴンに替えてCNT生成を検討した。諸条件の調整によってCNTの生成し、得られたCNTの構造解析を進めている。今後はこれまでの結果も踏まえてさらなる触媒粒径の極小化や均一化、分解温度が異なる第一第二炭素源の探索と供給方法の検討などによって無欠陥で高純度なCNT生成を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒CVD法による反応空間拡大や小径反応管によって、再現性良く2層CNTが得られるようになった。さらに様々なパラメータの最適化を図りさらなる高導電化を図る。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標を達成すべく、今後以下の検討を効率的に引き続き進める。①長尺化のために反応空間拡大に伴う生成諸条件の検討、②炭素源探索(分解温度の異なる第1,第2炭素源)とその供給方法検討
|
Causes of Carryover |
当初計画していた消耗品費に余剰分が出たため、それを次年度(最終年度)において当初請求額と合わせて主にCNT生成実験に伴う消耗品費として使用する。
|