2019 Fiscal Year Research-status Report
実験と理論の融合による半導体デバイス型水素センサの高性能化
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17K06365
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
色川 芳宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (90394832)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / MIS型水素センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの研究で、窒化ガリウムショットキーダイオード型水素センサにおいて、水素応答に重要な役割を果たす窒化ガリウム自然酸化膜がアモルファス構造ではなく、単結晶の酸化ガリウムがナノシート状となっていることが明らかになり、その自然酸化膜の電子物性的評価を行った。さらに、窒化ガリウムの金属/絶縁膜/半導体構造においても、絶縁膜/半導体界面に数原子層の結晶性中間層が存在することが明らかになった。そこで、次のステップとして、窒化ガリウム自然酸化膜上に酸化アルミニウムを堆積させた金属/絶縁膜/半導体構造の水素センサを作製して、水素応答性を調べた。その結果、以下の3点が明らかになった。1)絶縁膜(酸化アルミニウム)と水素が相互作用した結果、センサの水素応答が実現する、2)センサ周辺の雰囲気を乾燥空気にした場合、窒素雰囲気と比べて素子の回復が早い、3)電極にマイナスのバイアスを印加すると、素子の回復が早い。1)では、窒化ガリウムの自然酸化膜のみならず、酸化アルミニウム等の絶縁膜も水素と相互作用する点、および金属/絶縁膜/半導体構造において金属と半導体は本質的な役割を果たさないことを示唆している。2)では、金属/絶縁膜/半導体構造において金属が触媒的な役割を果たしていることを示唆している。3)では、センサ内に取り込まれた水素は絶縁膜内で正の可動電荷状に存在していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究で、窒化ガリウム型水素センサの動作機構が相当明らかになったものの、実際の素子として使用するための素子構造の最適化までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ガス種や温度等の様々な条件での検出を行い、実際の素子として使用するための素子構造の最適化を行う。
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Causes of Carryover |
水素検知機構を明らかにすることは必要不可欠であり、そのための研究に取り組んだ。次年度は素子の実用化を念頭に入れた構造最適化に予算を投入する。
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