2018 Fiscal Year Research-status Report
土砂災害の予兆検知のための遠距離高精度計測法の汎用化に関する研究
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17K06459
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
橋本 岳 静岡大学, 工学部, 准教授 (60228418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能見 公博 静岡大学, 工学部, 教授 (20325319)
岩田 孝仁 静岡大学, 地域創造学環, 教授 (30411804)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3次元計測 / 防災 / 画像計測 / 土砂災害 / 情報ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,画像を用いたパッシブステレオ計測において,量子化誤差を低減することにより高精度計測を可能とする独自技術に基づいている。これまで,この計測技術が他の計測技術に比べて優位な計測環境である屋外・遠距離での計測に取り組み,樹木や岩等の微小な動きの高精度な計測結果から土砂災害発生の予兆検知において成果を挙げた。本研究期間には,この土砂災害発生の予兆検知の種類や範囲を拡大すること,および,計測結果の伝送について検討を行うものである。具体的には,これまでの研究では人工マーカーを用いた計測について成功しており,本研究期間には,人工マーカー以外にも自然マーカーを対象とすることで一般ターゲットの計測を検討して,さらに計測距離を延ばすことについての取組みも行っている。2年度は,次のテーマについて鋭意研究を進めた。 テーマ1 計測システムの開発および計測の実施:自然マーカーを用いた計測において最重要な対応点探索の精度向上に関して,テンプレートの工夫やマッチング手法について様々な検討を行った。それらの検討結果を反映させた計測システムを用いて屋外における計測の実施を行った。その結果,検討結果が精度向上に有効であることを確認できた。また同時に,屋外計測の課題を明確にすることができた。 テーマ2 計測結果の伝送実験:(小型人工衛星から撮影する画像の画質を考慮して)遠方にある微小かつ低画質なターゲットの撮影を行い,画像特徴量抽出を検討することで計測結果伝送の可能性の確認を継続した。具体的には,高解像度化,および,低画素数のマーカー像からの特徴点抽出について検討を開始した。 さらに,本計測方法が当初の予想以上に様々な応用があることが分かってきており,それらの応用についても鋭意検討を行っている。特に,防災に関する展示会に出展した結果,本研究の優位性があると考えられる計測条件が見つかったため検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・計画にあるテーマ1,2をほぼ達成できたこと。 なお,小型人工衛星からの画像取得についても,衛星の放出および軌道投入に成功しており,画像取得について調整を行う段階にある。 ・画像計測において新たな知見を複数見出し,当初計画以上に新しい手法(誤差低減,対応点探索,特徴点抽出等)を提案できたこと。そして提案手法を現実の屋外計測において確認できたこと。さらに,屋外計測における課題を明確にできたこと。 ・本計測方法が当初の予想以上に,様々な分野において有効であることが明らかになった。具体例としては,インフラ構造物の検査に高精度計測を生かして従来技術では行えないような汎用的な計測を行えると見込んでいる。 さらに,防災計測において,本研究が(既存技術では実現できていない)広範囲の計測の新方法となる可能性が見つかったためその研究に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的通り,次のテーマおよび新規応用先について鋭意研究を進める計画である。 ・テーマ1について,自然マーカーをターゲットを対象とした高精度計測について理論と実験の両面から研究を進める。 ・テーマ2について,計測結果の伝送方法についての検討を進める。小型人工衛星を使った伝送について,衛星画像を得られ次第検討に入る。 ・新しく見つかった応用先(インフラ構造物の検査,防災のための広範囲計測)についても研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
購入しようと計画していたものより高性能な製品が翌年度に購入可能となるという情報を得たため。
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