2017 Fiscal Year Research-status Report
実践的モデルフリー設計を実現するスマート適応制御系構築に関する総合的研究
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17K06501
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水本 郁朗 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30239256)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制御工学 / 適応制御 / PFC / モデルフリー設計 / データ駆動型制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究開始の初年度であり,初めに,適応的およびデータ指向的手法に関して個別にそれぞれのこれまでの研究成果を拡張する形でスマート適応制御システムの基本的設計法の基礎的かつ理論的な研究を行った.具体的には,以下の理論的な検討を中心とした基本的設計法に関する検討を行った. (1)適応的モデルフリー制御系設計に関しては,構造が単純でロバスト性に優れているという点で実践的な適応制御手法として知られているシステムのASPR性に基づいた適応出力フィードバック制御手法をベースに,モデルフリーな新しい設計法の検討を行った.具体的には,対象システムのASPR化を実現するために必要不可欠な並列フィードフォワード補償器(PFC)の設計を含めた制御系全体の制御対象のモデルによらないモデルフリーな適応的設計法の提案を行った.さらに,出力追従を達成するためのフィードフォワード入力を有する2自由度制御系設計法のスマート化目指し,理論的検討を行った. (2)データ指向的モデルフリー制御系設計に関しては,蓄積された操業データを基にしたモデルフリー制御系設計法の理論的拡張を行う準備として,操業オンラインデータに基づくモデルフリーな予測制御系設計法の提案を行い,未来の情報を活用したモデルフリー制御系の構築を図った.さらに,次年度で検討する過去・現在・未来の情報を有用に活用するスマート制御器の構築の準備として,モデルフリー予測器の検討を行った. (3) 外乱に対するロバスト性の検討では,外乱の影響を効果的に抑制することは,高精度な制御系を構成するうえで必要不可欠な要素であることから,それぞれの手法の外乱に対するロバスト性の検討を行い,外乱等の阻害要因に対する制御性能の向上,安全性の確保に関するスマート制御系設計法の構築を図った.
上記の結果は,学術誌3編,国際会議Proceedings4編にまとめられている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は,基本的に最終的な研究目的を達成するための理論的検討を行うことである.具体的には, (1)適応的モデルフリー制御系設計法の検討,(2)データ指向的モデルフリー制御系設計,および,(3) 外乱に対するロバスト性の検討,に関して基礎的かつ理論的な検討を行うことであった.これらの本年度の研究目的に対し,研究実績の概要で示したように,計画通りの理論的検討を行い,次年度以降の研究進展のための新しい知見が得られたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は本年度に個別に理論的な検討を行った,適応型およびテータ指向型モデルフリー制御系設計法の拡張を行い,それぞれの特徴を生かす形での統合を図ることで制御手法のスマート化の実現を目指す.また,並行して検討を行っていた外乱ロバストを達成する手法を補償器として組み込むことで,実用的なスマート適応制御系の構築を行う.さらに,構築したスマート適応制御手法の有用性を数値シミュレーションおよび実機での実証実験により検討し,スマート制御系構築のための総合的な検討を行う予定である.具体的には,以下の点に重点を置き拡張するよていである.
(1)初年度に検討を行った適応型モデルフリー出力フィードバック制御手とデータ指向型モデルフリー制御系設計法とを組み合わせ,2自由度の制御系構造をベースにしたスマート制御系設計法を検討し,任意の制御対象(連続系,サンプル値系,非線形系さらには無駄時間系を含む)に対するモデルフリー設計法を実現するスマート適応制御手法を開発する.
(2)研究により構築したスマート適応制御手法の有効性および実用性を実験室レベルの実験装置により検証する.
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Causes of Carryover |
人件費・謝金として20万円を計上していたが,今年度は人件費・謝金をを使用しなかった.次年度は,当該研究に関する成果発表・資料収集旅費として使用する予定である.
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