2017 Fiscal Year Research-status Report
Global satellite mapping of wet surface and diversified monitoring of hydrological changes
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17K06582
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瀬戸 心太 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50533618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地表水 / 洪水氾濫 / 衛星観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数のマイクロ波放射計による全球地表水マップ(GSMaWS)の作成に着手した。今年度作成したのは、2015年1年間の全球を対象として、0.1°格子、6時間分解能のNormalized Differential Frequency Index(NDFI)のデータである。各フットプリントの19GHzと37GHzの輝度温度からNDFIを算出し、0.1°に格子化した。フットプリント中心位置で単純に判断する格子化は計算時間は早いが、海岸付近の時間変動解析に支障がある。LANDSATを起源とするプロダクトGlobal Surface Water(GSW)を用いて、フットプリント内に含まれる海面など恒常的な水面面積を考慮して、NDFIを補正した。この手法は、GSWデータの処理に計算時間が必要なため、日本域とインドシナ半島に適用した。NDFIの日内変動を補正し、2つのマイクロ波放射計GMIとAMSR2からそれぞれ算出したNDFIをセンサ間のバイアスを考慮して組み合わせることで、6時間分解能のデータを作成した。NDFIと、直前24時間の降水量(GSMaPによる)の時系列解析を行うと、平野部を中心に多くの場所で、正の相関が確認できた。2015年9月の関東東北豪雨のような洪水氾濫だけでなく、比較的弱い降雨による地表水の一時的な増加にもNDFIは反応しているとみられる。続いて、GSWから算出した冠水率とNDFIの関係を求め、NDFIを冠水率に変換した。さらに、GSWが示す過去の冠水頻度から、各時間における冠水場所を推定した。これにより、6時間・30m分解能の冠水マップを試作することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では2014年3月~2017年12月までのプロダクト作成を平成29年度中に完了する予定であったのに対して、2015年1年間のプロダクト作成にとどまった点は当初予定より遅れているが、格子化手法の改良および時間内挿手法の開発を行うことができており、プロダクトの期間拡張は平成30年度の早い時期に行う目途ができた。当初予定に示したNDFIから冠水率への変換式について作成した。さらに、0.1°内の冠水分布も推定した点は当初予定になかった成果である。以上のことから、総合的に判断して、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロダクトの作成は順調に進んでいる。時空間解像度の高解像度化と、対象期間・範囲の拡張のバランスを考慮しながら、より充実したプロダクトを作りたいと考えている。今後の最も大きな重要な課題は、作成したプロダクトの検証である。直前24時間の降水量との比較は行っているが、より直接的に地表水を表すデータとの比較を行うため、JAXA/EORCが開発し、データの公開が始まったYesterday's Earth at EORC(YEE)の利用を検討している。YEEは、一部衛星観測に基づく気象データを入力として、陸面・河川・氾濫のシミュレーションを行うものであり、これにより洪水氾濫面積などのデータが得られる。これを、本課題が作成するプロダクトと比較することで、衛星観測とシミュレーションの相互検証にもなり、将来的にはデータ同化にもつながることが期待できる。
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Causes of Carryover |
計算機の購入を予定していたが、作成するプロダクトの仕様および手法が確定しなかったため、本年度中に適切な計算機を選定し購入することができなかった。次年度、計算機の購入を行う計画である。
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