2017 Fiscal Year Research-status Report
Promoting hazard map use through nudge
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17K06603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤見 俊夫 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (40423024)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナッジ / 情報回避 / ハザードマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
災害リスクの適切な理解は防災・減災対策の基盤であるが、ハザードマップを利用する世帯は3割程度に留まっている。本研究では、この問題を解消するため、行動の阻害要因となっている心理バイアスを軽減・活用することで人々に望ましい行動を促す「ナッジ」政策の有効性を検証することを目的とする。ハザードマップの入手・利用・保管を促すためのナッジ政策をそれぞれ複数提案し、フィールド実験により被験者に実際に適用して行動変化を測定することで、それらのナッジ政策の効果を検証する。 上記の目的を達成するために,福岡県の世帯を対象にアンケート調査を行った.アンケートの回収結果は3142世帯,その内ハザードマップを知っている世帯は2443世帯であった.また,水害ハザードマップの利用意思があるものは2123世帯,現在利用している世帯は720世帯であった.つまり利用の医師がある世帯はおよそ8.5割,実際に利用している世帯はおおよそ3割であった. アンケートではランダム化比較試験を組み込んでおり,水害ハザードマップの閲覧を促進する介入として,「介入なし」、「マップ入手の手順説明」、「リンク(自発的)」、「リンク(強制的)」の4つを検討した.また,水害ハザードマップの閲覧確認の基準として,「水害ハザードマップを今見てもらえるか?」,「浸水想定区域に入っているか?」,「想定された浸水深は?」「何年に1回程度の規模が想定されているか?」について回答してもらい,それらの正誤で閲覧したかどうかを確認できるように工夫した. 簡単な分析の結果,「見たい」と思っている人には、見るきっかけがあれば自発的に見るようになること,「見たくない」、「関心ない」と思っている人にも、閲覧の手間を削減すれば見る人が多くなることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水害ハザードマップ閲覧に促進に関し,水害リスクの説明パターンとして「簡潔な説明(ベースライン)」,「リスクの強調」,「正の社会規範」,「負の社会規範」の4つをランダムに割り当てる仕組み,また,水害ハザードマップの閲覧を促進するナッジ介入について,「介入なし(ベースライン)」、「マップ入手の手順説明」、「マップへのリンク(自発的)」、「マップへのリンク(強制的)」の4つのパターンをランダム提示,その結果としてハザードマップを閲覧したかどうかを確認する工夫を組み込んだWebアンケート調査を実施した.これらの調査設計と調査実施は2年間をかけて行う予定であったが,初年度で本アンケート調査を実施することができた.また,簡単な分析により,「見たい」と思っている人には、見るきっかけがあれば自発的に見るようになること,「見たくない」、「関心ない」と思っている人にも、閲覧の手間を削減すれば見る人が多くなることが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において,リスク情報の提示の仕方とナッジ介入に関するランダム比較試験を組み込んだWebアンケート調査を実施することができた.今後は,そのWebアンケートデータを丁寧に分析し,どのような情報提示とナッジ介入が水害ハザードマップの閲覧促進に有効であるかを統計的に検証する.ここで,Webアンケートで提示されたリスク情報の説明やナッジ介入により,回答者が水害ハザードマップの閲覧を行ったかどうかの確認が重要になる.その確認のため,本調査では「あなたの住まいが浸水想定区域に入っているか?」,「想定された浸水深は?」「何年に1回程度の規模が想定されているか?」について回答してもらい,それらの正誤で閲覧したかどうかを確認できるように工夫した.そのため,2年目においては,まず,回答者の住所データからハザードマップに記載されている想定浸水深,想定頻度を確認し,それを回答者の回答と比較する作業を行うことで,水害ハザードマップを閲覧したかどうかの信頼できる指標を構築する.つづいて,その指標を用いて,どのようなリスク情報の説明,ナッジ介入,回答者の社会経済属性,回答者の価値観などがハザードマップ閲覧に影響しているかを統計的に検証する. 3年目以降では,初年度で行ったWebアンケート調査でのハザードマップ閲覧促進介入の効果がどのていど継続しているかを,リスク説明やナッジ介入の種類ごとに検証するためのWebアンケート調査を実施する.
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Causes of Carryover |
ランダム比較試験における説明や介入の割り当てを統合して,Webアンケート調査を同時に大規模に行ったことにより,各説明や介入ごとにアンケート調査を実施するより大幅に実施費用が削減できたことが,次年度使用額が生じた理由である.一方で,ハザードマップ閲覧の確認のため,各回答者ごとの住所からハザードマップの対応箇所を読み取り,そこでの想定浸水深や頻度を確認する作業は申請時当初には想定していなかった膨大な作業である.そのため,これらの残額は,データ分析のためのデータ整理費用として使用予定である.
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Research Products
(4 results)