2018 Fiscal Year Research-status Report
地域外居住者による”通い型”空間管理とその協働的・交流的活動への展開
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17K06695
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 雪彦 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (80334481)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空家管理 / 移住者 / 関係人口 / 交流人口 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は神流町における100件超におよぶ集落ヒアリング調査、南牧村全村における空家管理者アンケート調査を実施した。神流町のヒアリング調査では、昨年度の南牧村ヒアリング調査との比較分析を行い、同じ群馬県西毛地域で似たような立地条件においても、空き家管理に関して、神流町の空家管理が粗放化していることを明らかにした。南牧村は移住者が多く、伝統的景観が残存するが神流町では一般的な景観、資源のため結果として空家管理の粗放化が起きていることが推察された。さらに、南牧村におけるアンケート調査では、固定資産税を村外から収めている方を対象に、空き家管理者・空家責任者が大きな部分を占めると考え、400件あまりの悉皆調査を役場の協力のもと行った。個人情報の観点から、調査対象者の住所、名前が外部に漏れないように、宛名の貼り付けは村役場にお願いすることにした。分析の結果、空き家管理者は多様な帰省行動をとっていて、特に山登り、川遊び、山菜採り、釣りなど個人的な余暇活動を行っていた。また同時に集落の社会活動への参加状況も明らかにした。全体として、管理者の半分が余暇活動を楽しみ、積極的な地域社会の参加は1割程度であったが、今後の地域社会の持続に大きな意味を持つことが評価できた。またギリシャにおけるEUによる農村振興プロジェクトの事例調査を行い、生物多様性を軸とする過疎対策、観光振興が行われている実態を明らかにした。次年度は最終年度であり、通い型管理の持続に向け、移住者による新規の取り組み、空き家管理者の帰省行動を引き続き、ヒアリング調査およびアンケート調査で明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空家管理と余暇行動、地域社会参加の関係性について、定量的、定性的に明らかにできたことは、交流人口、関係人口の地域社会持続において有意な結論であると言える。ただし、新しい社会システムの構築のための知見および学術論文の執筆は最終年度に行う必要がありおおむね想定内の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、通い型管理の持続に向け、移住者による新規の取り組み、空き家管理者の帰省行動を引き続き、ヒアリング調査およびアンケート調査で明らかにしていきたい。さらに、学術誌への投稿を目指したい。研究の遂行上の課題としては、アンケート以外に空家管理者をまとまった数でヒアリングしたいと考えるが、その方策については関係自治体と協議しながら進めることとしたい。
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Causes of Carryover |
アンケート調査が2018年度においてややサンプルが少なく、2019年度においてこれを補足するため、次年度へ繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)