2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of an intermediate support organization that ensures the sustainability of migration and settlement promotion according to the regional characteristics of the fishing village
Project/Area Number |
17K06737
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
川窪 広明 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (90290254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 元毅 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30595723)
宮崎 篤徳 関西大学, 先端科学技術推進機構, 非常勤研究員 (60595726)
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
廣本 亮一 大手前大学, メディア・芸術学部, 非常勤講師 (20817605)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NPO法人 / 空き家バンク / 仕事バンク / 移住・定住 / シェアオフィス / 地域おこし協力隊 / ワークショップ / 市民大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年から2018年までの尾鷲市空き家バンクの登録物件数は206件、成約件数は利用した130世帯の93%に当たる121件と高いものであった。一方、空き家バンクを利用した世帯の内訳は、県外64件、三重県内(尾鷲市以外)19件、尾鷲市内47件と、尾鷲市内の利用者、つまり市内移住者が全体の約36%を占めているのが目についた。一般に空き家バンクは、移住者に空き家を住居として提供することで人口減少と空き家問題とを同時解決する制度と捉えられており、住民は利用できない市町村もある。そこで、尾鷲市で「市内移住」を行った人に対する調査によりその理由の解明を試みた。 まず市内移住者47名のうち、移住前の住所がわかる43名について郵送によるアンケートを実施し、10名から返答を得た(回収率23.3%)が、最も多かった理由は「持ち家を取得するため」であり、10名中5名であった。続いて「地震・津波」であり、10名中4名であった。これは2011年3月11日の東日本大震災以降、過去に1944年の東海地震を始めとする津波被害を受けている尾鷲市では、防災意識が高いことを反映した結果と考える。 そこで尾鷲中心市街地内で移住した31名の元住所と新住所の標高を調べ、尾鷲市の津波ハザードマップ上にプロットした。標高は、国土地理院の国土地図Globeで調べた。その結果、31名のうち元住所が津波浸水領域内である22名について、8名が領域外に移住したことがわかった。また元住所が津波浸水領域外である9名のうち7名は新住所も領域外であった。これより、アンケートで地震・津波を理由にあげた4名の他、アンケート未回答者にも津波に対する防災意識を持って移住した人が半数近くいると考えられる。すなわち「空き家バンクの市内利用者は、市内からの転出者を出さない」と考えると、市内居住者の空き家バンク利用に大きな意味がある。
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