2020 Fiscal Year Annual Research Report
The origin of the separate structure and the space by the independent slender columns in the National Library in Paris
Project/Area Number |
17K06749
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Research Institution | Nagaoka Institute of Design |
Principal Investigator |
白鳥 洋子 長岡造形大学, 造形学部, 准教授 (00301838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンリ・ラブルースト / パリ国立図書館 / サント=ジュヌヴィエーヴ図書館 / 独立柱の空間 / 鉄構造 / 水平力の分離 / イタリアの建築 / 古代ギリシア建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2019年のイタリアの現地調査で得られた資料を基にラブルーストが訪れたイタリアの都市と建築の分析を行なった。彼が訪れた都市、建築の数もデッサンの数も膨大であった。これらを基に研究成果の一部を「アンリ・ラブルーストのイタリア時代のデッサン:アッシジのサン・フランチェスコ聖堂の描写に見られる細い柱と石造天井」(長岡造形大学研究紀要、第18号・2020、2021)に発表した。 ここでは1825年から1830年の年毎に彼が訪れたイタリアの建築の特徴と傾向の分析を行い、全体像を把握した。事例分析としてアッシジのサンフランチェスコ聖堂を例に取り、1825年の彼にデッサンとの比較参照を行なった。そこからは、同聖堂には堅固な円筒状の控え壁があり、室内では細い柱の束が石造天井に繋がっていること、天井と屋根を形作る石造の横架材は別構造であり、二重のクロス・リブアーチにより分離していること、控え壁に小さな通用の開口が設けられていることなどの特徴を見出すことができた。彼が残したデッサンからは、水平力の分離と細い独立柱の空間との関係性において中世トスカーナ地方の建築にも同様の機構を見ることができた。 研究期間全体を通じて、現地調査では多岐に及ぶ様々な資料を得ることができ、大変有意義であった。その成果の一部を、パリ国立図書館の端緒や装飾芸術の主題などの詳細、独立柱を持つ空間と19世紀の建築家との関わり、ラブルーストのイタリア時代のデッサンについての論考を行なった。パリ国立図書館については全貌を把握しながら詳細研究を進め、同時に関連する建築の現地調査とデッサンの分析を行い、横断的な俯瞰性を持つことに研究の特徴がある。細い独立柱と分離構造は構造と意匠の同時性でもあり、古代、中世、19世紀の建築、現代においても向き合う主題であることに意義を見出している。
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Remarks |
(1)と(5)のタイトルは字数制限のため、サブタイトルのみを記載した。
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