2018 Fiscal Year Research-status Report
超音波マイクロバブル特性を解析するための新規プローブ分子と化学反応の開拓
Project/Area Number |
17K06908
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
興津 健二 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60295095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超音波 / バブル / 界面 / 高温 / 熱分解 / ラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波照射によって生成される高温高圧バブルを、水浄化技術やナノテクノロジーの分野に利用するためには、実際に生成しているバブルの特性を明らかにすることが重要である。バブル内やバブル界面での化学作用の特徴やバブルのもたらす物理化学作用を検討するために、メチルラジカル再結合反応(MR反応)の速度論解析からバブル温度の測定を行った。t-ブチルアルコール水溶液に空気、窒素、または酸素ガスを溶存させて超音波照射実験を行った結果、バブル温度は空気の時で一番高くなることが確認された。バブル温度は断熱圧縮の式より理論計算できるが、得られた結果は理論計算の結果を用いて単純に説明できなかった。このことを考察するために、窒素酸素混合ガス(混合比がコントロールされているガス)を溶存させた水溶液に超音波照射実験を行った。その結果、水中に適度に酸素が溶存する場合にバブル温度が高くなることが確認された。また、t-ブチルアルコールの分解は、水への酸素溶存量が増えると、一酸化炭素生成量が減り、二酸化炭素生成量が増えることが確認された。さらに窒素酸素混合ガスの代わりにアルゴン酸素混合ガスを用いて同様な実験を行った結果、酸素の影響がアルゴンの場合でも確認することができた。一方、これまで溶存ガスよりも比熱比の低いガス状分解生成物(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)がバブル内に存在することにより、バブル温度が低下することが示唆されていたが、このことを実験で実証することができていなかった。そこでガス状分解生成物がバブル温度にもたらす影響について調べる実験(再度アルゴンバブリング実験)をした結果、ガス状分解生成物がバブル温度を低下させることが実験で明らかにすることができた。さらに四塩化炭素を添加してMR反応を行った結果、バブル温度が高く見積もられることが確認された。この理由については現在考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バブル温度に与える新たな影響因子を見つけることができたため。さらに次年度に制作予定であったソノルミネッセンス解析装置の制作を予定よりも早期にはじめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最近の予備実験で得られた結果から、当初の研究計画よりもシンプルな超音波照射実験系でのソノルミネッセンスデータを取得することで、ソノルミネッセンス解析装置の最適化を行うことが重要であることが判明した。従って、今後の実験計画にこのことを反映して、各種実験条件下でデータを取得することを試みる。そして、バブル内やバブル界面で起こる化学反応を解析するために、有機分子の分解量(や反応量)とバブル温度の因果関係を考察すると共に、ソノルミネッセンスデータとの因果関係についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
2018年度に1,000,000円前倒し申請したが、その時に残(27,907円)が発生し、2019年度の研究費にその残を持ち越すこととした。このことによる使用計画の変更はありません。
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