2018 Fiscal Year Research-status Report
Roles of spike timing-dependent plasticity in neural formation during development
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17K07057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 文隆 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00202044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊丹 千晶 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90392430)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臨界期可塑性 / カンナビノイド / バレル皮質 / 視床皮質投射 / 2アラキドノイルグリセロール / 刈り込み / 4層細胞 / コラム状投射 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、視床皮質投射では、投射形成時にスパイクタイミング依存性可塑性(STDP)の中でも長期増強(LTP)だけのSTDP (all-LTP STDP)が起こること、また4層-2/3層投射でも投射形成時にやはりall-LTP STDPが起こること、さらに視床脂質投射の過剰な投射の刈り込み時にはLTDだけのSTDP(all-LTD STDP)にスイッチして内因性カンナビノイド(eCB)が投射を刈り込むこと、また4層-2/3層投射でも生後13-15日頃にSTDPのスイッチが起こり、これが臨界期可塑性の開始であろう事を示してきた(Journal of Neuroscience, 2012, 2016)。本研究では、LTP-STDPの性質、内因性カンナビノイドの実体の同定、カンナビノイド作動薬による軸索投射刈り込みの効果を明らかにして、STDP, カンナビノイドと回路形成、臨界期開始の関連を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度行った、Indiana大学のProf. Liuとの共同研究で得られたデータを解析し、神経科学学会、およびSociety for Neuroscienceの年次総会でこれまでのデータを発表し、大変好意的に捉えて頂けた。また同時に、多くの貴重な意見も得らことができた。これを元に、新たな実験を探索し、現在その実験が可能性、有効性について検討中である。また、これまでの論文を総括して、STDPと回路形成、臨界期開始のメカニズムを論じ、その仮説となるモデルを提唱するreviewを執筆し、既にJournal fo Neuroscienceに受理され、近日中にViewpointとして掲載されることになった。これは、臨界期可塑性の開始メカニズムについて、これまで全くわかっていなかった、GABA細胞の発達との関与を説明するモデルを初めて提唱しており、意義深い物と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内因性カンナビノイドの実体として、少なくとも2AG(2-アラキノイドグリセロール)が関与していることが、視床皮質投射、4層-2/3層投射のall-LTD STDPが欠落していることから明らかになってきたこと、また、Indiana大学との共同研究によっても、解析の結果、d-THCやWINが4層軸索を刈り込んでいること、さらに円柱状投射の形成にカンナビノイドが関わっている事が統計的にも有意な差として現れた。本研究では体性感覚皮質をモデルとして扱ったが、円柱状構造は皮質構造の基本であり、体性感覚野だけで無く特に高等動物では全皮質領域に亘って見られると考えられているが、その形成メカニズムは全くといって良いほどわかっていない。このように重要なメカニズムの一端を明らかにでき、全貌の解明に近づけたことの意義は大変大きいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
内因性カンナビノイドが円柱状投射の形成に関わっている事の証拠は得られたが、この結果をさらに確固とすべく、カンナビノイド受容体を遺伝的に欠落した動物からの標本を用いて、レスキュー実験ができないかを現在検討中である。これが可能であり、我々のこれまでの結果をサポートするデータが得られれば、非常に重要なデータを提供することができると考えている。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも早く実験が進み、今年度は論文執筆に時間を当てたため、余剰金が生じたが、来年度は更に追加の実験を進める予定であり、当初の通りの予算が必要である。
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Research Products
(6 results)