2018 Fiscal Year Research-status Report
視床下部新規領域が司るburying行動と自閉症における常同行動との関係性
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17K07080
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
堀井 謹子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80433332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | urocortin-3 / enkephalin / リスクアセスメント / 不安 / 警戒 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者がマウス視床下部に見出した領域、Pefifornical area of the anterior hypothalamus (PeFAH)には、urocortin-3とenkephalinを共発現するニューロンが存在する。これらurocortin-3/enkephalinニューロンを選択的に除去したマウスの行動や摂食量、体重変化、ホルモンの変化等について調べた。 方法は、urocortin-3プロモータ下流でCreリコンビナーゼを発現するucn3-creマウスのPeFAHに、Cre依存的にジフテリアトキシンを発現する組換えアデノ随伴ウイルスをインジェクションした。投与後、一週間毎に、一カ月にわたり食餌量と体重変化を調べたが、コントロール群と差異は認められなかった。また、PeFAHは、ストレスホルモンであるコルチコステロンの分泌制御中枢である室傍核の外側に位置するため、本ウイルス投与が、血漿中のコルチコステロン値に与える影響について、ELISA法を用いて調べたが、影響は認められなかった。これらのことから、PeFAH urocortin-3/enkephalinニューロンの欠如は、摂食量、体重、ストレスホルモン等には影響を与えない事が明らかになった。 これらurocortin-3/enkphalin欠如マウスを用いて、不安を測定する試験であるオープンフィールド試験、新奇物体試験、marble burying試験を用いたが、コントロール群との間に差異は認められなかった。しかし、ホームケージ内にて新奇物体試験を行った結果、これらマウスは新奇物体をかじる行動や執拗なsniffingといった異常行動が見られた。以上の結果から、urocortin-3/enkephalinニューロンは、特にホームケージ内において、新奇物体に対する不安・警戒心の持続に寄与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を計画通りに進める事ができた。また、本研究で得られた成果は、申請者の予想を上回る結果であり、神経科学のみならず、心理学や精神医学、抗不安薬の開発などの広範な学術領域に貢献する成果であると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、課題申請時の研究計画に沿って、自閉症のモデルマウスであるBTBRマウスにおけるurocortin-3/enkephalinニューロンの異常や新奇物体に対する反応について調べる。
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Causes of Carryover |
本研究が進み、申請者は論文執筆に着手し始めたため、実験にかかる消耗品の支出額が抑えられたため。
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Research Products
(2 results)