2017 Fiscal Year Research-status Report
Influence of postnatal experience on the formation of the cell-lineage dependent neural connections
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17K07085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
足澤 悦子 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (00446262)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経回路 / シナプス結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マウス大脳皮質バレル野の4層において細胞系譜依存的に形成される双方向性のシナプス結合が、生後の感覚入力を必要とするかどうかを検証することである。4層の興奮性細胞である星状細胞間に形成される双方向性結合は、発達段階で3つのステップを経て完成する。第一段階は生後9-11日に起こる一方向性のシナプス結合の形成、第二段階は、双方向性結合の増加、第三段階は、一方向性結合の減少である。これによって、神経結合のほぼ8割が双方向性結合となる。 今年度は、この第二段階と第三段階の結合様式に感覚入力がどのように影響するかを調べるために、生後13日から記録前日までの間、毎日マウスのヒゲをトリミングすることによって、感覚入力の遮断を試みた。感覚遮断後のマウスから脳切片標本を作製し、ダブルホールセル記録を行った。大脳皮質バレル野の4層の星状細胞間結合様式を検証した結果、驚くべきことに、同一細胞系譜の星状細胞間の結合様式のみに変化が観察された。まず、第二段階に観察された双方向性結合の増加がみられなかった。一方で、細胞系譜が異なる星状細胞間の結合様式には影響がなかった。さらに、第三段階に観察された一方向性結合の減少は、観察されず、また低い双方向性結合が保たれていた。細胞系譜が異なる星状細胞間の結合様式に変化は見られなかった。 以上の結果より、細胞系譜依存的な双方向性結合には生後の感覚入力が必要であることが明らかになり、また感覚遮断によるシナプス結合の再構成は同じ細胞系譜の神経細胞間に形成されるシナプスでのみ起こる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進んでいる。 これまでに確立した手法を用いることで、問題なく研究が遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同一細胞系譜の神経細胞間に形成される感覚入力依存的な双方向性結合の分子基盤を明らかにするために、グルタミン酸受容体であるNMDA受容体に着目し実験を進める。 NMDARを欠損したマウスからiPS細胞を樹立し、野生型マウスの胚盤胞に移植することで、キメラマウスを作製する。そのキメラマウスから脳スライス標本を作製し、NMDA受容体欠損神経細胞からホールセル記録を行い、細胞系譜依存的な双方向性結合の有無を検証する。
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Causes of Carryover |
予定通り、実験遂行に必要な消耗品に充てた。 引き続き、次年度も実験で使用する消耗品、実験動物維持管理費に充てる。
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