2017 Fiscal Year Research-status Report
分岐軸索内における区画標識としてのチューブリン修飾の機能解明
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17K07107
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小西 慶幸 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (00382838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軸索 / 微小管 / 翻訳後修飾 / 光スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
軸索の分岐形態の調節は適切な神経回路の構築や可塑性おいて非常に重要であるが、神経細胞が特定の枝を識別し、伸長・退縮を調節する機構は解明されていない。従来研究の問題は、軸索内で枝という「区画」を認識するために必要な「標識」が不明であったことである。申請者らは、軸索輸送の不均一な分配により、単一軸索における枝ごとの退縮の違いが生じることを明らかにした。さらに、チューブリン分子の翻訳後修飾が枝の識別に関わる区画標識として機能する可能性を示した。本研究では特定の枝において光遺伝学的に修飾酵素の活性を操作し、チューブリン修飾を変化させることで、区画標識として機能の証明を試みる。初年度は、CRISPR/Cas9による遺伝子編集技術により内在性のチロシン化酵素TTLを抑制し、その評価を可能とするシステムを構築した。これによりチューブリン分子の特定の修飾を阻害することで、軸索形態にどのような変化が生じるかを解析することが可能となった。光スイッチ融合タンパク質について、非神経系の細胞を用いて光依存的な分子の会合と、イメージングによる解析が可能であることを確認し、条件の最適化を行った。5分間隔の断続的な青色光パルス照射を行うことで、照射エリアでの分子の会合を維持しながら、長期的な細胞の変化を観察できることが示された。また、微小管の修飾についての機能や区画に依存した制御機構について解析を進め、分岐軸索の枝長に依存して枝の区画での微小管の標識が制御されるというフィードバックの存在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チューブリンの修飾酵素の遺伝子について、初代神経細胞を用いたゲノム編集の実験系を構築した。また、光スイッチの実験系について、予備検討を行なうとともに、コンストラクトの作成に着手している。光スイッチについてはキネティクスの観点から当初の予定を変更してCRY2とCIB1の結合領域を用いることにした。また、研究の計画段階では不明であったが、チューブリンの脱チロシン化酵素がVasohibin/SVBPの複合体であることが報告された。このため、本酵素複合体についてもコンストラクトを作成していく。これら変更はあったものの、準備は順調に進んでいるのに加え、微小管の修飾の制御について新たな知見が得られており、全体として概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光スイッチのシステムを完成させていくのと並行して、内在性のチューブリン修飾酵素阻害による軸索の分岐形態の変化を解析していく。前述した通り、修飾酵素のうち、新たに発見された脱チロシン化酵素の複合体についても対象に含める。これは内在性の酵素の阻害により、軸索の形成に異常が起こることに加え、制御サブユニットであるSVBPとの結合が酵素活性に必要であるため、本研究課題の狙いである光スイッチを用いた酵素活性の制御が行いやすいためである。
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Research Products
(5 results)