2021 Fiscal Year Research-status Report
アデノシンセンサー細胞を利用した神経・精神疾患モデルの解析
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17K07110
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森田 光洋 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アデノシン / アストロサイト / AQP4 / うつ / 脳傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経修飾因子アデノシンに対するバイオセンサーを開発し、精神神経疾患モデル動物由来の脳スライスにおけるアデノシン放出について研究を進めている。これまでに、コカイン中毒に伴ううつ様症状について検討を行い、線条体におけるAQP4依存的なアデノシン放出の増加と、これに関連したドーパミン放出の減少、および前頭前野内側におけるAQP4依存的なアデノシンA1受容体の機能低下を見出している。また、同様の解析を脳傷害後の損傷周辺部位についても行い、炎症や興奮毒性といった2次傷害や組織再生といった回復過程におけるアデノシンの動態を検討した。その結果、独自に開発した閉鎖性頭部外傷モデル「光傷害マウス」の傷害4日後ではアデノシンの減少による神経活動の亢進が見られ、これが7日目までに正常化することが明らかとなった。このことは傷害急性期から亜急性期にかけて、アストロサイトに由来する組織中のアデノシンが一時的に減少し、これが神経細胞の過剰な興奮による細胞傷害につながることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度は特別な事情により、実験担当者が十分な時間を確保することができず、研究を進めることが困難であったが、本年度はこれらの問題を解決し、おおよその成果を得ることができた。しかし、データをまとめ、論文として投稿するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度はうつ病モデルと脳傷害モデルに関する研究をまとめ、論文として発表する。
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Causes of Carryover |
研究成果が論文発表に至っていないため、投稿や追試の費用として次年度使用する。
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