2018 Fiscal Year Research-status Report
PKN3阻害によるがん転移抑制のメカニズムを解明する。
Project/Area Number |
17K07168
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
向井 秀幸 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (80252758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PKN3 / PKN2 / 血管内皮細胞 / PKN1 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たな遺伝子改変マウス個体の作製実験については、昨年度報告の「現在までの進捗状況」欄に記載したとおり、当初の予定からの変更を行った。血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスを作製するために、当初はTie2-Creマウスを利用する予定であったが、Tie2-Creマウスよりもより血管内皮特異性が高いとされるCdh5-Creマウスを医薬基盤研究所から導入し、Cre-loxP システムによって、コンディショナルにPKN2をノックアウト可能なPKN2 flox/floxマウスと交配し、今回血管内皮特異的にPKN2をホモノックアウトしたマウス生体を得ることができた。血管内皮細胞特異的PKN2ホモノックアウトマウスは、生殖・発育ともに、現在までのところ明らかな異常を認めていない。臓器のマクロ解剖レベルでの異常も認められなかった。現在、解剖学的には、顕微鏡レベルでの異常の有無について解析中である。またコントロールマウスを用いて、Luciferaseを発現しているLewis肺がん細胞の血行性転移実験の系を確立した。現在遺伝子改変マウスをもちいた腫瘍の血行性肺転移実験のために、充分数のマウスを準備すべく交配中である。 培養細胞レベルの実験については、やはりマウスの初代血管内皮細胞を、十分量、コンタミなく準備することは難しく、コストも増大してきたため、HUVECを用いたPKN3およびPKN2をターゲットとしたsiRNAノックダウン実験にシフトした。PKN2を有意にノックダウンしたHUVEC細胞を得たが、PKN1やPKN3の発現量には有意な変化はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PKN2 flox/flox でかつCdh5-Cre陽性のマウスについて、PKN2 flox についてホモの個体がなかなか得られなかったため、Cdh5-Creを用いた部位特異的PKN2ホモノックアウトマウスは胎生致死ではないかと疑われたが、昨年度後半にやっとPKN2ホモノックアウト個体が得られた。 HUVEC細胞において、PKN2, PKN3をそれぞれノックダウンした細胞を調整し、これらの細胞における種々の細胞間接着因子の発現量の変化および、関連リン酸化酵素のリン酸化レベルを、増殖因子存在下で検討したが、明かな有意差をみとめる分子はいまだ同定できていない。PKN3をノックダウンしたHUVEC細胞シートをBoyden chamberのupper chamber内に作製し、その細胞シートを透過するがん細胞数を検討する実験を繰り返し着手したが、再現性のある結果がいまだ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
PKN3、および PKN2をノックダウンした血管内皮細胞で、野生型マウスと比べて、発現量が有意に変化している細胞間接着分子は未だ見いだせていないので、この探索は今後も継続していく予定である。 血管内皮特異的PKN2ノックアウトマウスの表現型については、さらに解剖学的解析をすすめていく。現在繁殖させている血管内皮特異的PKN2ホモノックアウトマウスおよびPKN3ホモノックアウトマウスは、ともに充分数が確保でき次第、コントロールマウスとともに、Luciferase発現Lewis肺がん細胞およびB16メラノーマを静脈注入し、転移腫瘍の数、増殖能を検討していく。またPKN3ノックアウトマウスにおいて、PKN3 siRNA製剤が、付加的な転移抑制効果を持つかどうかについても、やはり尾静脈-肺転移モデルを用いて、検討していく予定である。 PKN3ノックアウトマウスを用いて、aorta ring assay やcorneal pocket assayを行うと、どちらにおいても増殖因子依存性の血管新生が抑制されていることをすでに確認しているが、血管内皮特異的PKN2ホモノックアウトマウスについてもこれらのアッセイを行って、血管内皮PKN2の血管新生に対する影響も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
物品が当初の想定よりも安価に入手できたため若干の残額が発生した。次年度の予算に合算して物品等を購入する計画である。
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