2018 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマ癌幹細胞特異的に発現する新規バイオマーカーの機能解析
Project/Area Number |
17K07183
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
丸山 正人 関西医科大学, 医学部, 講師 (00399445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 洋輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (40776530)
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 助教 (60580446)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / microseminoprotein / Crispr/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、MSMPに対するペプチド抗体を独自に作製し、細胞に強制発現させたMSMPをウエスタンブロットや免疫染色で検出可能な抗体を準備した。本年度は、これらの抗体を用いて、グリオーマ患者の腫瘍組織におけるMSMPの発現を免疫組織学的に解析した。その結果、MSMPがグリオーマ患者由来腫瘍組織において、発現していることを明らかにできた。一方、グリオーマの悪性度(グレードI~グレードIV)との関連についても調べたが、MSMPの発現量とグリオーマの悪性度との間に相関関係は見られなかった。また、種々のがん幹細胞におけるMSMPの発現をウエスタンブロットにより解析したものの、いずれのがん幹細胞も、内因性のMSMPの発現は検出限界以下であった。 一方、MSMPノックアウト細胞を作製するため、初年度に、3種類のCrispr/Cas9ベクターを構築している。pEGxxFPシステムを用いて、これらのベクターの遺伝子切断活性を調べた結果、Exon2を標的とする1種類のベクターが、遺伝子の切断活性に由来するGFPの蛍光を示した。そこで、このベクターを用いて、MSMPノックアウトがん幹細胞株の作製を試みた。樹立した複数の細胞株のゲノムを抽出し、標的領域のゲノム配列を調べた結果、いずれの細胞株も、標的遺伝子領域が切断されていなかったことが分かった。MSMPは遺伝子の大きさが短いため、標的領域よりも下流の領域を標的にしても、遺伝子が部分的に破壊されるにとどまってしまうため、今後の改善策として、shRNAによるノックダウンがよいと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Crispr/Cas9の効率を調べる実験では、当初ポジティブな結果が出たため、時間を要する、がん幹細胞を用いたノックアウト細胞の作製に進んだものの、ゲノムの切断活性が十分ではなかったため、結果的に、良好な結果を得ることができなかった。また、所属研究室が、他の研究室と物理的に統合したことに関連した引っ越し作業や研究室のインフラ工事などにより、本年度の研究期間が大いに減ったことが理由に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Crispr/Cas9に代わり、shRNAを用いたMSMPノックダウン細胞の作製を試みる。また、最終年度は、マクロファージの遊走能についてノックアウト細胞株を用いて検討する予定であったが、ノックアウト細胞の作製に成功していないため、対応策としてリコンビナントMSMPを作製し、in vitro 及び in vivoにおける遊走能を調べる予定である。
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