2017 Fiscal Year Research-status Report
新規長鎖非コードRNAによるINK4遺伝子座制御とその破綻による発ガン機構の解明
Project/Area Number |
17K07184
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
神武 洋二郎 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (90531963)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | long noncoding RNA / INK4 locus / p16 / p15 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、長鎖ノンコーディングRNA(long noncoding RNA; lncRNA)によるINK4遺伝子座制御とその破綻による発ガン機構の解明を目的とする。これまでに著者は、INK4遺伝子座に存在する新規lncRNA(lncRNA on the INK4 locus; LOILと命名)を同定した。 本研究の結果、LOILをノックダウンすると、ヒト子宮頸癌細胞HeLaの細胞増殖が顕著に抑制されること、INK4遺伝子座のp16遺伝子だけでなく、p15遺伝子の転写も活性化することが明らかとなった。これまでに筆者は、ANRILというlncRNAが、ポリコームタンパク質複合体(ヒストンH3K27のメチル化酵素複合体)をINK4遺伝子座にリクルートすることにより、p15及びp16の転写を抑制することを報告した。しかし、本研究のChIPアッセイの結果、LOILをノックダウンしても、INK4遺伝子座上のヒストンH3K27のメチル化レベルに変化はないことが分かった。これらの結果から、HeLa細胞において、LOILはポリコーム複合体非依存的にp15及びp16遺伝子の転写を抑制する機能を持つことが示唆された。さらに本研究により、INK4遺伝子座の転写を抑制するlncRNA、SLOP(Suppressor lncRNA of p15; SLOPと仮名)を同定した。肺癌細胞H1299において、SLOPをノックダウンすると、INK4遺伝子座のp15遺伝子の転写が活性化され、細胞増殖が顕著に抑制されることが明らかとなった。これらの結果から、SLOPはp15転写抑制を介して、H1299細胞の増殖を正に制御する機能を持つことが示唆された。 以上本研究により、INK4遺伝子座の転写抑制に関するLOILとSLOPは、将来的に、ガン治療薬の分子標的になり得ることが期待された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたLOILの機能解析だけでなく、新たに同定したINK4遺伝子の転写抑制に関与するlncRNA、SLOPの機能解析 も行ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後さらにLOILとSLOPの作用機序の解明を行い、さらに生理的意義の解明を行う予定である。
|
Research Products
(16 results)
-
[Journal Article] Silencing of BCR/ABL Chimeric Gene in Human Chronic Myelogenous Leukemia Cell Line K562 by siRNA-Nuclear Export Signal Peptide Conjugates.2017
Author(s)
Shinkai Y, Kashihara S, Minematsu G, Fujii H, Naemura M, Kotake Y, Morita Y, Ohnuki K, Fokina AA, Stetsenko DA, Filichev VV, Fujii M.
-
Journal Title
Nucleic Acid Ther.
Volume: 27
Pages: 168-175
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Homeobox Transcription Factor NKX2-1 Promotes Cyclin D1 Transcription in Lung Adenocarcinomas.2017
Author(s)
Harada M, Sakai S, Ohhata T, Kitagawa K, Mikamo M, Nishimoto K, Uchida C, Niida H, Kotake Y, Sugimura H, Suda T, Kitagawa M.
-
Journal Title
Mol Cancer Res.
Volume: 15
Pages: 1388-1397
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] 新規レスベラトロール誘導体は大腸癌細胞三次元増殖を抑制する2017
Author(s)
澤田悠賀, 松川泰治, 土井聡, 角田俊之, 岡本春奈, 苗村円佳, 田原圭一郎, 有川和沙, 松岡耕平, 原田正樹, 大貫宏一郎, 白澤専二, 神武洋二郎
Organizer
第40回日本分子生物学会年会
-
-
-
[Presentation] 大腸癌細胞増殖を抑制するレスベラトロールの探索2017
Author(s)
澤田悠賀, 松川泰治, 土井聡, 岡本春奈, 苗村円佳, 田原圭一郎, 有川和沙, 松岡耕平, 原田正樹, 大貫宏一郎, 神武洋二郎
Organizer
近畿大学サイエンスネットワーク2017・第7回院生サミット
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 新規レスベラトロール誘導体による大腸癌細胞増殖抑制機構2017
Author(s)
澤田悠賀, 松川泰治, 土井聡, 岡本春奈, 苗村円佳, 田原圭一郎, 有川和沙, 松岡耕平, 原田正樹, 大貫宏一郎, 神武洋二郎
Organizer
第54回化学関連支部合同九州大会
-