2018 Fiscal Year Research-status Report
新規長鎖非コードRNAによるINK4遺伝子座制御とその破綻による発ガン機構の解明
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17K07184
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
神武 洋二郎 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (90531963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | INK4遺伝子座 / 長鎖ノンコーディングRNA / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、長鎖ノンコーディングRNA(long noncoding RNA; lncRNA)によるINK4遺伝子座制御とその破綻による発ガン機構の解明を目的とする。昨年度までの解析により、筆者は、INK4遺伝子座に存在する新規lncRNA(lncRNA on the INK4 locus; LOILと命名)を同定し、LOILがINK4遺伝子座の転写抑制に関与することを明らかとした。さらに昨年度の研究成果により、INK4遺伝子座の転写を抑制するlncRNA、SLOP(Suppressor lncRNA of p15; SLOPと仮名)が同定された。 本年度の解析により、肺癌細胞A549及びH1299において、SLOPをsiRNAオリゴ及びアンチセンスDNAを用いてノックダウンすると、INK4遺伝子座のp15遺伝子の転写が活性化され、細胞増殖が顕著に抑制されることが明らかとなった。また細胞周期解析の結果、SLOPをノックダウンすると、A549及びH1299細胞が細胞周期のG1期に停止することが明らかとなった。これらの結果から、SLOPはINK4遺伝子座のp15遺伝子の転写抑制を介して、細胞周期のG1-S期進行を促進し、肺癌細胞A549及びH1299の増殖を正に制御する機能があることが考えられた。一方、子宮頸癌細胞HeLaにおいて、SLOPをノックダウンしてもp15遺伝子のmRNA量に変化はなく、細胞周期のG2/M期に停止することが明らかとなった。これらの結果から、HeLa細胞において、SLOPは細胞周期のG2/M期進行を促進し、増殖を正に制御する機能があることが考えられた。 以上本研究により、ガン抑制に重要なINK4遺伝子座の転写抑制に関するLOILとSLOPは、将来的に、ガン治療薬の分子標的になり得ることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、NK4遺伝子座の転写抑制に関する2つのlncRNA、LOILとSLOPの機能が明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LOIL、SLOPの作動原理と、生体内での生理機能を明らかとしていく予定である。
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Research Products
(11 results)