2017 Fiscal Year Research-status Report
転写量ノイズを消去し細胞均一性を維持する機構の解明
Project/Area Number |
17K07247
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂 名古屋大学, 医学系研究科, 研究機関研究員 (80548470)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | スプライシング / pre-mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的・環境的に均一な細胞群では、遺伝子発現量のランダムなばらつきは強く抑えられているということがわかっている。積極的にノイズを除去し遺伝子発現量を均一に保つことは、細胞運命を決定する上で非常に重要であり、また発生過程や組織恒常性の維持に必須である。 これまでに得てきた知見をもとに、前年度はpre-mRNAスプライシング反応速度と、核に滞留するmRNA量の関連を解析した。ES細胞と線維芽細胞の3つの細胞分画(クロマチン、核質、細胞質)に含まれるRNAを抽出し、ribosomal RNAを除去したすべてのRNAを次世代シークエンサーで解析した。3つの細胞分画に含まれるRNA量の比を全遺伝子について調べたところ、pre-mRNAスプライシング反応速度と核に滞留するmRNA量は負の相関関係があることがわかった。つまり、pre-mRNAスプライシングに時間を要するRNAほど、核に滞留している時間が長いことが示唆された。 次に、核と細胞質のRNA分子を可視化、定量するため、single-molecule mRNA FISH (smFISH) を行った。シグナルの検出にはハイコンテントスクリーニングを行い、画像の取得から解析までを自動で行った。smRNAの結果により、RNA-seq解析結果のvalidationを行うことができた。また同時に、細胞集団における遺伝子発現量のばらつきの程度を定量することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりスプライシング反応速度と核RNA量の関連を示すことができた
|
Strategy for Future Research Activity |
転写産物が核から細胞質へ移行する過程において、pre-mRNAスプライシング反応速度が重要な役割を果たしていることが明らかになったため、今後は当初の研究計画どおりスプライシング反応速度を変化させる実験を行う。スプライシング阻害剤やスプライソソームのコンポーネントに対するアンチセンスオリゴを用いてスプライシングを阻害し、ES細胞と線維芽細胞の3つの細胞分画(クロマチン、核質、細胞質)に含まれるRNAを解析する。
|
Causes of Carryover |
次世代シークエンス解析の価格が研究計画時より下がったことにより、次年度使用額が生じた。次年度以降は、smFISHをフローサイトメトリーと組み合わせ、シングル細胞での大規模解析を新たに加える。申請項目に加えてフローサイトメトリー用smFISHのキット購入、分析依頼に関わる費用を次年度に使用する。
|
Research Products
(1 results)