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2018 Fiscal Year Research-status Report

動的ネットワークプロテインの構造機能相関

Research Project

Project/Area Number 17K07361
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

井上 倫太郎  京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (80563840)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsクリスタリン / 中性子散乱
Outline of Annual Research Achievements

水晶体はレンズとして機能するため に高タンパク質濃度 (> 100 mg/mL)を維持する必要があるが、
高濃度のタンパク質溶液は非常に容易に凝集し透明性を失う。しかしながら、水晶体は少なくとも半世紀以上はその透 明性は保持されている。それでは、どのように高タンパク質濃度を維持すると同時に長期間の透明性は維持されているのであろうか?その鍵を握るのが水晶体に含まれるクリスタリンの主要構成成分であるアルファークリスタリンである。アルファークリスタリンは分子量が2万程度のサブユニットが20-40個会合したタンパク質複合体であり、
そのシャペロン機能によりクリスタリンの凝集を阻害する。これまで、このアルファークリスタリンのシャペロン機能の機構解明を目指した研究が試みられたが、 四次構造が未だ決定されていないため最終的な結論は得られていない。我々は、アルファ-クリスタリンのサブユニット数不定が、 アルファ-クリスタリン会合体で構成する
サブユニット交換によると予測し、明確な四次構造を有さない原因 と考えた。我々はアルファークリスタリンのサブユニットの交換の有無を調べるために重水素化支援小 角中性子散乱法 (DA-SANS) 及び分析超遠心法 (AUC)の相補的利用により取り組んだ。特に、DA-SANSにおいては100%重水中で不可視化できる75%重水素化技術を利用して、0.45 mg/mL (希薄環境)及び28.5 mg/mL (準濃厚環境)の75%重水素化アルファ-クリスタリンを作成した。その結果、いずれの系においてもサブユニット交換が観測され、興味深いことに時定数は変化しなかった。
AUCの結果と数値計算を組み合わすことでモノマーが交換反応を支配していることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまで、アルファークリスタリンの重水素化を進めてきたが、培地及び培養条件が十分に最適化されてこなかったため、5 mg/mL程度の75%重水素化アルファークリスタリンしか作成することができなかった。そのため、希薄環境下におけるアルファークリスタリンのサブユニット交換反応しか研究を行うことができなかった。そのような状況を打開するため2018年度においては培地及び培養条件をより詳しく検討を行った。その結果、28.5 mg/mLの準濃厚溶液にまで濃度を飛躍的に向上することができた。
アルファークリスタリンは会合数に対して強い多分散性を示す試料であるため、平均構造のみを抽出する小角散乱法のみではそのサブユニットの動態を明らかにすることは困難であった。しかしながら、2018年度において溶液中での分子量分布を明確化できるAUC法を実用レベルまで稼働でき、このAUC法により溶液中における会合数を非破壊で可視化できるようになった。それらの結果をDA-SANSの結果を組み合わすことで、アルファークリスタリンのサブユニット交換の機構を明らかにすることに成功した。

Strategy for Future Research Activity

2018年度においては28.5 mg/mLの75%重水素化アルファークリスタリンの作成に成功し、これまでの希薄系のでの限界を超えた準濃厚溶液におけるアルファークリスタリンにおけるサブユニット交換の観測及び、その交換の機構解明に成功した。しかしながら、上述したように実際の人の水晶体中におけるタンパク質濃度は100-150 mg/mL程度のタンパク質濃度を有しており、2018年度に実験に使用した28.5 mg/mLはそれに比較するとまだまだ希薄である。そこで、最終年度である2019年度においてはさらなる重水素化の効率を目指すため、培地及び培養条件の最適化及び重水化率の精密制御を行うことで、人の水晶体中におけるタンパク質濃度に匹敵するほどの75%重水素化アルファークリスタリンの作成を目指す。そこで、得られた75%重水素化アルファークリスタリンを濃厚環境を構築する成分として用いることで、濃厚環境下におけるアルファークリスタリンのサブユニット交換の観測を目指す。更に、サブユニット交換が観測された場合にはこれまでに得られた希薄環境、準濃厚環境下で観測されたサブユニット交換の機構との相違を調べ、機能発現のメカニズム解明を目指す。

  • Research Products

    (7 results)

All 2018 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)

  • [Int'l Joint Research] ANSTO(オーストラリア)

    • Country Name
      AUSTRALIA
    • Counterpart Institution
      ANSTO
  • [Journal Article] Asp 58 modulates lens αA-crystallin oligomer formation and chaperone function2018

    • Author(s)
      Takata Takumi、Nakamura-Hirota Tooru、Inoue Rintaro、Morishima Ken、Sato Nobuhiro、Sugiyama Masaaki、Fujii Noriko
    • Journal Title

      The FEBS Journal

      Volume: 285 Pages: 2263~2277

    • DOI

      10.1111/febs.14475

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Purification and structural characterization of water‐soluble menaquinone‐7 produced by Bacillus subtilis natto2018

    • Author(s)
      Chatake Toshiyuki、Yanagisawa Yasuhide、Inoue Rintaro、Sugiyama Masaaki、Matsuo Tatsuhito、Fujiwara Satoru、Ohsugi Tadanori、Sumi Hiroyuki
    • Journal Title

      Journal of Food Biochemistry

      Volume: 42 Pages: e12630~e12630

    • DOI

      10.1111/jfbc.12630

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Subunit dynamics of a-Crystallin under crowding environment2018

    • Author(s)
      Rintaro Inoue, Yusuke Sakamaki, Takumi Takata, Ken Morishima, Nobuhiro Sato, Kathleen Wood, Noriko Fujii, Masaaki Sugiyama
    • Organizer
      第18回日本蛋白質科学会年会
  • [Presentation] 準濃厚環境下におけるa-クリスタリンの動態2018

    • Author(s)
      井上倫太郎、酒巻裕介、守島健、高田匠、佐藤信浩、Kathleen Wood, 裏出令子、藤井紀子、杉山正明
    • Organizer
      日本中性子科学会 第18回年会
  • [Presentation] Laboratory based SEC SAXS SYSTEM (La-SSS)2018

    • Author(s)
      Rintaro Inoue, Ken Morishima, Nobuhiro Sato, Masaaki Sugiyama, Tatsuo Nakagawa
    • Organizer
      第56回日本生物物理学会年会
  • [Presentation] Laboratory based SEC SAXS SYSTEM (La-SSS)2018

    • Author(s)
      Rintaro Inoue, Ken Morishima, Nobuhiro Sato, Masaaki Sugiyama, Tatsuo Nakagawa
    • Organizer
      SAS2018

URL: 

Published: 2019-12-27  

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