2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07392
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
村上 浩士 中央大学, 理工学部, 教授 (80262020)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 分裂酵母 / 体細胞分裂 / 遺伝子発現 / チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂は遺伝的多様性を生み出し、配偶子形成に必須であるがその制御機構に関しては不明な点が多い。本研究では、減数分裂に特有の諸現象を協調的に進行させる制御機構の解明を目指す。特に、(1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構、(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構、 (3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構、及び(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構を分裂酵母をモデルとして研究することにより、減数分裂過程の開始から減数分裂前DNA合成及び第一減数分裂までの減数分裂の制御機構を明らかにする。 (1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構に関しては、Cds1キナーゼの基質の候補Mei4を同定し、このタンパク質がCds1 により実際にリン酸化されるかを検討している。(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、上記のMei4変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)において、減数分裂前DNA複製を阻害すると、第一減数分裂は開始しなかった。そこで、別の因子が関与している可能性について検討している。(3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構に関しては、Mei4以外のフォークヘッド型転写因子がこの過程に関与しているかを検討している。(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構に関しては、meiRNAがフェロモンシグナルのない状態では減数分裂前DNA複製に必要なことを明らかにした。また、meiRNAのターゲットは転写活性化因子であるRep1である可能性が高くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構に関しては、Cds1キナーゼの基質の候補を同定した。この候補は転写因子の一つのMei4で、Cds1がリン酸化すると予想される部位に変異を導入すると減数分裂前DNA複製を阻害しても、遺伝子組換え開始の指標となる二重鎖切断が生じた。さらに、この部位が実際にin vivoおよびin vitroでCds1依存的にリン酸化されるかを検討している。(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、上記のMei4変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)において、減数分裂前DNA複製を阻害すると、第一減数分裂は開始しなかった。この結果は予想とは異なったので、別の因子が関与している可能性について検討している。(3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構に関しては、Mei4以外のフォークヘッド型転写因子がこの過程に関与しているかを検討している。ただし、Fkh2に関しては、関与している可能性があるが確定的な結果を求めて検討している。Sep1に関しては、これの破壊株では減数分裂に誘導することが困難なため、条件変異株を作成している。(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構に関しては、meiRNAがフェロモンシグナルのない状態では減数分裂前DNA複製に必要なことを明らかにした。また、meiRNAのターゲットは転写活性化因子であるRep1である可能性が高くなった。 当該年度に(1)で述べたようにCds1キナーゼの基質の同定にほぼ成功したが、(2)に関しては進展が今のところ少ない。(3)に関してはさらにいろいろな可能性を検討する必要がある。(4)は、当初の目標としていたことが実現でき、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構に関しては、Cds1キナーゼの基質の候補を同定した。この候補は転写因子の一つのMei4で、Cds1がリン酸化すると予想される部位に変異を導入すると減数分裂前DNA複製を阻害しても、遺伝子組換え開始の指標となる二重鎖切断が生じたので、この部位が実際にin vivoおよびin vitroでCds1依存的にリン酸化されるかを検討する。(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、上記のMei4変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)において、減数分裂前DNA複製を阻害すると、第一減数分裂は開始しなかった。この結果は予想とは異なったので、別の因子が関与している可能性について検討する。(3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構に関しては、Mei4以外のフォークヘッド型転写因子がこの過程に関与しているかを検討している。ただし、Fkh2に関しては、関与している可能性があるがさらなる検討が必要である。Sep1に関しては、これの破壊株では減数分裂に誘導することが困難なため、条件変異株を作成する。(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構に関しては、meiRNAがフェロモンシグナルのない状態では減数分裂前DNA複製に必要なことを明らかにした。また、meiRNAのMmi1を介してのターゲットは転写活性化因子であるRep1である可能性が高くなった。そこで、rep1 mRNAがMmi1により直接制御されるかを検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画より、消耗品の量が少なくなった。スクリーニングに要する時間が多かったためだと考えられる。次年度は、主に物品は試薬、培地、チップ、ピペット、プライマー、その他については、塩基配列解析などに使用する予定である。旅費は、学会参加し、発表する予定である。
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Research Products
(7 results)