2019 Fiscal Year Annual Research Report
Intrinsic-, extrinsic factors for long-term maintenance of planarian stem cells
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17K07421
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
柴田 典人 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 准教授 (60402781)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全能性幹細胞 / MTA / 細胞移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラナリアの全能性幹細胞(新生細胞)を2維持している未知のニッチを明らかにし、ニッチに局在する真の新生細胞を同定し、この細胞を起点とした成体全能性幹細胞システムの理解を目的とした。具体的には哺乳類で腫瘍の転移の獲得に関与することが知られているMTA遺伝子のプラナリア相同遺伝子の機能阻害を行い、細胞の挙動の変化、機能阻害個体での遺伝子発現の変化を調べ、ニッチの有無を検討した。 RNAiによってプラナリアの2つのMTA相同遺伝子(MTA-A、MTA-B)遺伝子をそれぞれ機能阻害すると再生不全が観察される。この時、通常のプラナリアでは間充織全体に存在している新生細胞が、筋状に繋がった状態で存在する。本研究では、この筋状の新生細胞がどのような性質を持っているのかを確認した。機能阻害個体の新生細胞の分裂能に関しては通常個体の新生細胞と同様であったが、細胞の移動性に異常が見られた。新生細胞がX線照射によって特異的に死滅させることができる。プラナリアの中央より後方を鉛版で遮蔽して照射すると、遮蔽されていない上半身のみ新生細胞が除去される個体を作成できる。このような個体では、照射後に後方から前方へのランダムな新生細胞の移動が観察される。MTA-A機能阻害固体において、同様の照射実験を行ったところ、後方からの新生細胞の移動が観察されたが、筋状に繋がった状態で移動していた。さらにMTA-Bの機能阻害個体では全く移動が確認できなかった。さらにMTA機能阻害個体では、ギャップ結合に関与するイネキシン(inx-B)の発現が優位に増加していることも見出した。これらのことから、プラナリアのMTA遺伝子は細胞の接着性を変化させ、新生細胞が特定のニッチから出られなくなることから細胞分化が抑制され、再生不全を起こすこと、さらには新生細胞自身がニッチとなりうることが予想された。
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Research Products
(1 results)