2021 Fiscal Year Research-status Report
幼少期ストレスによる神経回路変容が引き起こす心身異常の総合的理解
Project/Area Number |
17K07481
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宮園 貞治 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50618379)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ストレス / 幼少 / 母仔分離 / 扁桃体 / 神経活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼少期に虐待やネグレクト(育児放棄)などの過度な精神的ストレスを継続的に経験すると、将来、うつ病や心的外傷後ストレス症候群(Post Traumatic Stress Disorder;PTSD)などの精神疾患の発症率が高くなる。それだけでなく、心臓病などの身体異常の発症率も上昇すると言われている。このように、幼少期の過度なストレスにより将来的に精神と身体のいずれにも引き起こされる異常は、成長過程における脳内神経回路の不可逆的な変容が長期にわたって継続したためと考えられるが、その機序の詳細は明らかではない。本研究では、幼少期に母仔分離ストレスを継続的に経験したマウスを用いて、幼少期ストレスによって精神と身体の両方に異常を引き起こす脳内神経回路の変容機序の解明を目的とした。前年度までに、幼少期ストレスが、脳内神経回路およびそれを反映した行動に異常な影響を与えることを見出した。 令和3年度は次のような成果を得た。前年度に引続き、幼少期母仔分離ストレスを負荷したマウスと未経験のマウスにおいて、嫌悪臭である酪酸で刺激した時の脳内の神経活性を比較するために、Fos活性について脳内網羅的解析を行った。その結果、ストレス負荷マウスでは、情動やストレスに関する脳部位である扁桃体(基底外側核や中心核など)や側坐核における神経活性が抑制されていることを確認した。一方で、梨状皮質における神経活性は両者で変わらなかった。以上のことから、幼少期ストレスは、嗅覚経路への嫌悪臭情報の入力自体には影響を与えないが、ストレスを制御する脳内神経回路による嗅覚経路への修飾性に影響を及ぼすことが明らかになった。今後、他の脳領域についても比較を進め、神経活性の詳細を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大および他の学内業務等によりスケジュール通り研究が進行しなかったので。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度中に遂行予定であった研究計画を半年で遂行し、研究課題全体の総まとめに残りの半年で取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、【現在までの進捗状況】の項に記述した通り、昨年度の研究計画が予定通り進行しなかったため。研究計画の遂行にあたり、実験動物や免疫組織化学染色実験等に必要な試薬や消耗品等を購入する。
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Research Products
(2 results)