2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07490
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
豊田 ふみよ 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10244708)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | イモリ / ステロイドフェロモン / ペプチドフェロモン / 鋤鼻器官 / プロラクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は我々が発見した雄イモリ腹腺由来の雌誘引ペプチドフェロモン(ソデフリン)と雌誘引ステロイドフェロモン(アンドロステンダイオン、プレグネノロン)と同じく雌イモリで卵管から単離同定に成功した、両生類で初めての雄誘引ペプチドフェロモン(アイモリン)についてその受容メカニズムおよび受容細胞から中枢でのフェロモン情報処理システムを明らかにすることにより、雌雄の性行動発現機構における性フェロモンの役割を探求することを主な目的としている。2017年度は、雌誘引ステロイドフェロモン応答細胞がペプチドフェロモン(ソデフリン)とほぼ同様の鼻腔外側に在る鋤鼻器に多く存在することを電気生理学的に確認した。その投射部位について神経トレーサーを用いて確認したところ、ペプチドフェロモンと同様に副嗅球に投射していることを確認した。各フェロモンに対する副嗅球での応答細胞の応答パターン、相乗効果がどのように見られるかを調べるための足掛かりとなった。雄誘引物質(アイモリン)についての投射経路についても現在同時に調べており、フェロモン情報投射部位に性差があるのかどうかが明らかになる予定である。 一方、イモリが生殖に際して陸から水環境に移行することが知られているが、すでに繁殖状態となり水環境に移行した雄イモリにイモリプロラクチン受容体抗体を脳室内投与した結果、対照群と比べ陸環境に滞在することがわかった。従って、内因性のプロラクチンが水環境への馴化に関係すると考えられる。水陸の環境下での鋤鼻上皮の形態的な違いがあるのかどうか、プロラクチンがその形態変化を引き起こすのかどうかについても調べている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最初に着手する予定であった、雄イモリ腹部肛門腺より単離・同定された雌誘引ペプチドフェロモン「ソデフリン」とステロイドフェロモンの雌鋤鼻器官での応答性の相互作用を解明する点については嗅電図応答レベルに終わっており、まだ細胞レベルでの解析が進んでいない。カルシウムイメージングやパッチクランプ法にステロイド物質を適用する段階で技術的な問題をクリアーできずにいたことが主な原因であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、フェロモン応答の中枢経路の解明を進めることにする。ステロイドフェロモンとペプチドフェロモンの高次投射部位を明らかにし、それぞれのフェロモンに対する応答パターンにどの様な違いがあるのか、また両者の雌誘引活性相乗効果は高次中枢ではどのようなパターンで生じるのかを明らかにする。 受容細胞レベルでのステロイドフェロモンとペプチドフェロモンの相乗効果については、膜電位感受性色素を用いる方向で検討する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた電気生理学用品が入手困難であったため、次年度に購入することになった。
|
Research Products
(6 results)