2017 Fiscal Year Research-status Report
小型無人航空機を用いた高山植生モニタリング手法の確立
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17K07562
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
和田 直也 富山大学, 研究推進機構 極東地域研究センター, 教授 (40272893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 成寿 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (50338761)
杉浦 幸之助 富山大学, 研究推進機構 極東地域研究センター, 准教授 (80344307)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高山植生 / ドローン / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自動車でのアクセスが困難な高標高地の山頂に、背負って運搬が可能なsUAV(小型無人航空機・ドローン)を持込み、数ha規模での空撮を実施し、安価で精度の高い簡便なリモートセンシングの調査手法を確立することである。初年度である2017年度は、環境省が実施しているモニタリングサイト1000 高山帯調査において、富山県立山山地の定点観測サイトとなっているハイマツ群落の調査地を2箇所、風衝地及び雪田の調査地を2箇所、計4箇所を対象に研究を行った。調査対象地域は1~3haである。空撮には、DJI社製のMavic Pro(重量:734g)とPhantom 4 Pro(1388g)の二機種のドローンを用い、標準装備されている純正カメラより得られた画像を解析に用いた。現地での調査は、1)対空標識点(GCP)の設定、2)自動飛行によるドローン空撮(GS proを使用、但しシャッターは手動)、3)GCPの座標計測、の流れで実施した。地理座標の計測には、Garmin社製GPSMAP64sとTrimble社製Geo7を用いた。画像解析にはAgisoft社製Photoscanを用いた。精度検証には、同地域で国土交通省が実施したLiDAR測量画像を用いた。 得られた結果は次の通りである。1)山頂付近は晴天時でも突風が吹くことが多く、小型軽量ドローンのMavic Proでは突風時に得られた画像がブレることがあり、やや大型であるがPhantom 4 Proの方が安定した画像が得られる。2)高精度GNSS測器を用いた場合、オルソモザイク画像の精度は、緯度、経度、標高のそれぞれで、1m程度に収まっていた。一方、汎用性測器を用いた場合、特に標高値の精度が著しく低下した。以上のことから、高山植生を対象とした簡便なリモートセンシングを実施する上で、推奨すべき調査法を列挙することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天候の変化が激しい高山帯において、突風が吹くことも想定される山頂や稜線を含む調査対象地域において、空撮を安全に実施することができた。但し、精度の検証方法や植生分類については、まだ課題が残っており、画像解析をさらに進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたオルソモザイク合成画像の精度検証をさらに進めると共に、植生分類の方法について、さらに解析を進める。それと同時に、今年度計画している植生発達の季節変化を詳細に明らかにする調査計画に改善点を生かし、時系列空間データの解析へ発展させたい。
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Causes of Carryover |
実施年度内に連携研究者を招聘して研究成果報告会を実施する予定でいたが、解析が遅れ、日程調整が難航し、開催できなかったため。次期の使用計画としては、画像解析の技術的なサポートを受けるために、研究協力者の会議旅費を考えている。
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