2017 Fiscal Year Research-status Report
Autonomous degradation of tropical forests
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17K07567
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 俊弘 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50316189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱帯雨林 / マレーシア / 東南アジア / 野生生物 / イノシシ / 自律 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は2度の現地調査を行い、本研究計画の遂行に必要なデータを収集した。 林内に15台の動物自動撮影装置を設置し、主にイノシシのアクティビティ調査を行っているところである。また、保護林に隣接するアボリジニの村を訪れ、社会構造に関する調査と聞き取り調査を行った。さらに、森林構造、森林動態、森林更新に関する調査を行い、森林周辺部が、中心部と明らかに異なる森林構造、森林動態、森林更新を持つ事を明らかにした。林縁部では特に小さい木の数が減り、最近、新しい木の加入が滞っていた。これらは森林周辺部分が劣化していることを示している。また、生物多様性の評価も行い、林縁部で生物多様性が下がっていることも発見した。この成果は Shima, K., Yamada, T., Okuda T., Chiristine, F., Kassim AR.: Dynamics of Tree Species Diversity in Unlogged and Selectively Logged Malaysian Forests. Scientific Reports 8:1024 DOI:10.1038/s41598-018-19250-z. 2018 に発表した。 また、林縁部では中心部に比べ、イノシシのアクティビティが高いことをイノシシの営巣地の調査から明らかにした。森林周辺部が、中心部と明らかに異なる森林構造、森林動態、森林更新を持つ事はイノシシの活動のためだと考えられる。通常、森林の周辺部が劣化する要因はケモノとは独立なことが多いのではあるが、調査を行った森林では次の理由で、林縁部でのケモノのアクティビティの高さのせいで劣化が発生していると考えられる。つまり、この保護林では、森林の直ぐ横にアブラヤシ園が広がっており、イノシシは頻繁にアブラヤシ園に出ては、食料を調達し、このために林内のイノシシの個体群密度が高どまっているようである。 今後は、イノシシの活動とアブラヤシ園の関係、イノシシの活動と森林劣化の関係を定量的に示すことのできるデータの収集を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は(1) 動物自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査、(2)パソ保護林の樹木の更新状況に関する解析、および(3)アボリジニの社会構造とブッシュミートの利用量の変化に関する調査を行う予定であった。 そこで平成29年度は2度の現地調査を行い、上記に関するデータを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、本年度同様、研究計画書どおりの研究を行い、研究計画書に合った目的を果たす。 具体的には 予定通りパソ保護林中心部分とパソ保護林周辺域(アブラヤシ園接続部)のイノシシの営巣調査と自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査をIckes(1996)に倣って行い、イノシシの営巣活動の経時的な変化と保護林中心部とアブラヤシ園近隣域でのイノシシのアクティビティを定量・比較する。 また、パソ保護林周辺の村にも訪れ、イノシシを含めた野生生物に関する聞き取り調査を行う。
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Causes of Carryover |
自動撮影装置の購入価額が当初想定するより少なかった。 来年度には聞き取り調査等で当初想定していなかった費用がかかる恐れがあり、それに利用する。
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Research Products
(2 results)