2018 Fiscal Year Research-status Report
Autonomous degradation of tropical forests
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17K07567
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 俊弘 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50316189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱帯雨林 / 森林動態 / 森林荒廃 / 野生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30 年度では、10月と3月に行った野外調査により、以下の2項目に関する調査を行った。 1. パソ保護林中心部分のイノシシの営巣調査と自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査:Ickes は1996 年にパソ保護林中心部でイノシシの営巣調査を行った。彼が行ったのと同じ方法、同じ場所でイノシシの営巣調査を行い、イノシシの営巣活動の経時的な変化を定量した。その結果、1996年度と同様の、高いイノシシの営巣密度を確認した。同時に自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査も行った。結果として、他の森林と比べて場合、パソ保護林ではイノシシのアクティビティが高いことを示すことが出来た。 2. パソ保護林周辺域(アブラヤシ園接続部)のイノシシの営巣活動調査と自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査:Ickes が行ったのと同じ方法で パソ保護林周辺域(アブラヤシ園接続部)にてイノシシの営巣調査を行った。その結果、1の調査で明らかにした中心部の二倍以上に高い営巣密度を発見した。同時に自動撮影装置によるイノシシのアクティビティ調査を行うことで、アブラヤシ園近隣域でのイノシシのアクティビティを定量した。結果として、森林周辺部(=アブラヤシ園近隣)で、イノシシのアクティビティが中心域と比べもにならないほど高くなることを明らかにできた。 以上の調査より、中心部より周辺部でイノシシの営巣密度とアクティビティがともに高いことが示せた。こうしたイノシシのデータと、既に集まりつつある森林動態のデータを付き合わせ、イノシシのアクティビティが森林に与える影響を調べている。データの解析は完全には終わってはいないが、イノシシの活動の影響により、パソ保護林では森林荒廃が進みつつあることが明らかにできつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書には、平成30年度はパソ保護林中心部分および周辺息で、イノシシの営巣活動と自動撮影装置を用いたアクティビティ調査を行う予定が記されていた。そして、平成30年度はこの記載内容どおり研究をすすめることができた。以上から、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は以下の二つを行う。 1. マレー人入植者の野生生物に対する意識調査 パソ保護林周辺にはマレー人入植者村があり、彼らはパソ保護林周辺のアブラヤシ園を経営している。彼らの入植の歴史、世帯構造・収入構造に関する聞き取り調査を行う。同時に野生生物に関する聞き取り調査を行い、モスリムである彼らとイノシシの関係および害獣としてのイノシシ対策についても聞き取りを行う。 2. 人とケモノと熱帯雨林が共存できるアブラヤシ園のデザイン アブラヤシはマレーシアの主要な産物であるため、その生産をやめることはできない。しかしアブラヤシ開発を人にもケモノにも熱帯雨林にも優しくデザインすることは可能である。本研究課題から培った、自然科学・社会科学的な知見をもとにマレーシア森林研究所の動物生態学者と農村社会学者とともに、実現可能で持効性が高い対応策を盛り込んだ人とケモノと熱帯雨林が共存できるアブラヤシ園をデザインし、発信する。
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Research Products
(1 results)