2019 Fiscal Year Annual Research Report
Autonomous degradation of tropical forests
Project/Area Number |
17K07567
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 俊弘 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (50316189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱帯林 / イノシシ / 森林荒廃 / 農地 / アブラヤシ園 / 生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度も、計画通りの研究を遂行することができた。 令和元年度は、主に二つのテーマについて調査を進めた。一つ目は、野生のケモノと熱帯林に関する現地生態学的調査である。昨年度中に設置した動物撮影装置を令和元年12月に回収し、引き続き動物相調査を行った。同時に、熱帯林の野生のケモノによる荒廃状況に関する野外データの収集に努めた。この調査により、野生のケモノと熱帯林の荒廃の関係(場所による土壌かく乱の程度の違い、特に熱帯林内部と周辺部と森林荒廃の関係)、野生のケモノの行動パターン(出現パターンや営巣地の分布パターン)と熱帯林周辺の農地との関係を明らかにすることができた。 二つ目のテーマは、熱帯林周辺に住む人々と熱帯林および野生のケモノの関係である。この目的のため、マレーシア森林研究所と共同して地域住民へのインタビューを令和2年3月に行った。農地を経営するマレー人(イスラム教徒)は野生のケモノについて、一定の許容を示すものの、イノシシを激しく嫌う。しかし、自分たちではほぼ何も対策していないことが、農地経営者とのインタビューで明らかとなった。この理由としてイノシシを苦手にしているだけでなく、農地経営そのもにはイノシシがそれほど影響しないことにある。その結果、イノシシ個体群が増加し、熱帯林に悪影響を与えているという基本構造が分かった。かなり前まではイノシシの駆除を非イスラム教徒に依頼することもあったらしいが、豚インフルエンザの感染拡大以降、依頼を受ける人が減ったこともこの状況に拍車をかけていた。 アボリジニは、野生のケモノを尊敬することがインタビューで分かった。しかし、銃を持たず、吹矢で狩りをする彼らの狩猟対象にイノシシはないことが分かった。 イノシシに対する人の採集圧も低いことが明らかとなった。 以上が今年度の実績の概要である。
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