2019 Fiscal Year Research-status Report
Statistical mathematics for population dynamics models: information criterion, observation model, approximate Bayesian computation
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17K07578
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
島谷 健一郎 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70332129)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 推移行列モデル / 群集動態 / クラスター点過程 / パーム尤度法 / クローナル繁殖 / 非定常空間点過程 / ベイズ統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は予定では最終年度だったため、成果をまとめ論文の形で公表することを中心に研究を進めた。空間点過程モデルでは、非定常クラスター過程におけるパラメータ推定とモデルの相対評価を行う新たな枠組みを、Palm尤度法を非定常過程に拡張することを昨年度末、提唱し、統計数理研究所における国際シンポジウムで発表した。これにより、どの非定常性が有効に働き、どの非定常性は定常モデルで代替できるかの判定基準を提供してくれる。本年度は、この手法を人工データで検証することから始めた。並行して数理的手法を論文の形でまとめていった。投稿先として、上記国際シンポジウムをもとに本代表者もassociate editorを務めるEcological and Environmental Statisticsにおいてspecial issueを組むことにしており、そこへoriginal articleとして投稿した。 クローナル植物の個体群動態を、クローン単位と、クローン内の株単位の階層に分けて、推移行列モデルの形で定式化することを提唱し、論文の形でまとめた。並行して、実データからパラメータを推定する方法も、観察過程を経る形で尤度式を導いた。これにより、ベイズ事後予測の応用でクローン増殖率を推定したり、生残・成長・クローン繁殖のどれがどのようにクローン増殖率に寄与しているか、統計的な精査が可能となる。 1月には、海外在住の日本人研究者も招聘して、生態学への機械学習の応用事例とその可能性について、研究議論の場を設けた。また、ブナ2次林の群集動態及び観察過程における不確実性評価のための野外調査を2回行った。以前から執筆を進めていた推移行列モデルに関する教科書は、共著者の諸事情でしばらく停滞したが、本年度3月、先へ進められる状態に転じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非定常空間点過程モデルについて、Palm尤度を用いることで最尤法や情報量規準、ベイズ統計の枠組みに乗せることに成功した。クローナル植物のクローンごとの動態も、尤度式を導くことで、一般的な統計的推定の枠組みに乗せることに成功した。 ただ、昨年度同様、近似ベイズ法を空間点過程へ適用する試みを依然として達成できていないため。「おおむね」順調と言わざるを得ない。。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大のため、本来、成果発表の場と位置付けていた生態学会(2020年3月名古屋)が開催されず、研究終了を1年、延期した。2020年度は、再開された学会で順次、上記の成果を発表し、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により学会が中止となった。
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