2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07588
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
水野 文月 東邦大学, 医学部, 助教 (50735496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 順 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80301141)
熊谷 真彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度解析センター, 研究員 (80738716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本人の起源 / ゲノム分析 / 弥生時代 / 縄文時代 / 旧石器時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、北部九州・山口西部地域の遺跡から出土した弥生時代人骨を用いて、そのゲノム情報を明らかにし、分子人類学的解析から渡来系弥生時代人の遺伝的背景の解明を目指した。そのために、西日本地域の様々な遺跡から出土した弥生ならびに縄文時代人骨のミトコンドリアゲノムと核ゲノムの塩基配列を次世代シーケンサで決定した。昨年度は北部九州・山口西部の遺跡から出土した複数個体の古人骨に関してミトコンドリアゲノムの99%以上をカバーすると共に、高い蓋然性をもつ塩基配列を得ることができた。本年度は、渡来系弥生時代人が北部九州・山口西部に渡来する以前から同地で生業を立てていた縄文人のゲノム情報を明らかにするために、九州(主に熊本地方)の複数の遺跡から出土した古人骨に関し、上記の弥生時代古人骨と同様に、ミトコンドリアゲノム配列を得ることに成功した。現在、その詳細を分析中である。 昨年度、山口西部の土井ヶ浜遺跡の弥生時代人骨から抽出したDNAをもちいて、ヒトゲノムの約30倍量となる全ゲノム塩基配列データを得ることに成功している。本年度は、次世代シーケンサで得られた個々の塩基配列データ(リード配列)をヒトゲノム参照配列へマッピングした結果の概要を分析した。リード配列は各常染色体に偏りなくマッピングされ、さらに常染色体上にマップされたリード配列数の半数のリード配列がそれぞれXならびにY性染色体上にマッピングされた。このことは当該古人骨が男性であることを示し、古人骨の形態学的特徴から推定された性別判定結果と一致した。本ゲノム解析アプローチをより精緻におこなえるようにすることで、残存する骨試料からでは判定が困難な古人骨試料に関しても性別同定が可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、渡来系弥生時代人が北部九州・山口西部に渡来する以前から同地で生業を立てていた縄文人のゲノム情報を明らかにするために、九州(主に熊本地方)の複数の遺跡から出土した古人骨に関し、上記の弥生時代古人骨と同様に、ミトコンドリアゲノム配列を得ることに成功した。現在、その詳細を分析中である。また、山口西部の土井ヶ浜遺跡の弥生時代人骨から抽出したDNAをもちいて、ヒトゲノムの約30倍量となる全ゲノム塩基配列データについて、次世代シーケンサで得られた個々の塩基配列データ(リード配列)をヒトゲノム参照配列へマッピングした結果の概要を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
既知の配列データ(現代人ならびに古人骨)を含めて、得られた全ての古人骨の配列データの統計数理解析をおこなう。具体的には、日本列島の旧石器時代、縄文時代ならびに弥生時代の様々な遺跡から出土した古人骨、古代中国出土古人骨に加えて、現代日本人、現代韓国人を含む東アジア現代人の配列データをもちい、それぞれの遺伝的類縁性と時代的変遷等を明らかにする。また、核ゲノム情報をもちいた解析を進める。
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Causes of Carryover |
試薬の経費削減ができたため残金が生じた。次年度の使用計画としては、解析のための物品費、現地調査や研究成果発表のための出張旅費等に使用する。
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Research Products
(4 results)