2017 Fiscal Year Research-status Report
エノキタケの半数体ミュータントパネルの作出と食用きのこ育種モデルの基盤構築
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17K07612
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
種坂 英次 近畿大学, 農学部, 教授 (80188391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 拓司 近畿大学, 農学部, 准教授 (00423004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エノキタケ / アグロバクテリウム / 形質転換 / ミュータントパネル / 半数体 / 単核菌糸体 / 子実体形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
エノキタケ(Flammulina velutipes)単核菌糸体についてアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)を介した形質転換を実施した。対象とするエノキタケについて、菌糸体が着色し、単核性発茸特性を有する単核系統(bmHY4)を選抜した。bmHY4について、連携研究者(田中千尋:Hatoh et al., 2013)の従来法に従いアグロバクテリウム株(EHA105)を用いて形質転換を実施したところ、フィルターあたり0.2-0.25個のコロニーを得る形質転換効率に留まった。この形質転換効率はエノキタケ複核菌株で実施されたHatohら(2013)の結果と同様であった。形質転換効率が低い原因として、エノキタケ菌糸体とアグロバクテリウム株との親和性が問題であると考え、アグロバクテリウム株LBA4404とC58C1を用いて実施したところ、両株においてEHA105株と比較して4-5倍の形質転換効率を示した。また、ハイグロマイシンB(50 μg/ml)を含む選択培地は形質転換体を有効に選抜した。表現型を調査した127系統の形質転換体はいずれも野生系統と同様に菌糸体着色および単核性発茸特性を示し、期待された表現型のノックダウン変異は得られなかった。得られた形質転換効率は多数の変異体を作出するには未だ不十分であり、今後、共培養下でのアセトシリンゴンの添加濃度を含めて再検討する必要がある。以上の詳細はJournal of Crop Research (2018)に印刷中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子実体形成不全株を含む多数の変異体を作出するためには、従来法による形質転換効率では不十分であった。
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Strategy for Future Research Activity |
共培養(感染時)におけるアセトシリンゴン濃度(現、200 μMで実施)について、より高濃度の添加を試みる。また、菌糸体を対象とした形質転換ではなく分裂子またはプロトプラストを対象として実施する。
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Causes of Carryover |
従来法での形質転換効率が低く、期待した多数の変異体が得られなかったため、当初予定していた解析研究に進展しなかった。形質転換法の改良と併行して変異体スクリーニングおよび原因遺伝子の解析を進める。
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