2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07658
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川勝 恭子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 主任研究員 (60581733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 花弁 / トルコギキョウ / 遺伝 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
花弁長に隔たりのあるEustoma grandiflorum一重系統とEustoma exaltatum一重系統を材料に、異なる温度条件下で栽培した場合の花弁細胞の観察および到花日数の計測を行った。両系統で共通に、高温区では2週間以上の開花前進となった。開花時花弁長はEustoma grandiflorum系統で顕著に短縮した。一方最大花弁長および花弁幅はEustoma grandiflorum系統とEustoma exaltatum系統の両方で高温の影響を受けて短縮した。したがってEustoma grandiflorumで温度環境の影響を受ける花弁長決定因子は、Eustoma grandiflorum系統とEustoma exaltatum系統の花弁長決定因子群の一部であるが、温度環境が影響する開花以降の花弁伸長については両系統の遺伝的差異の関与が低いことが示唆された。 電子顕微鏡観察により、一般的なEustoma grandiflorum系統はEustoma exaltatum系統よりも大きな細胞をもつことが明らかとなった。また細胞数が多いことも花弁の巨大化の原因であった。さらに花弁の小さいEustoma grandiflorum系統AはEustoma exaltatum系統と同程度の細胞サイズであることを見出した。Eustoma grandiflorum系統Aの到花日数は一般的なEustoma grandiflorum系統よりも小さく、Eustoma exaltatum系統に近かった。 Eustoma grandiflorum系統の開花前後の細胞を部位別に観察した結果、細胞肥大は花弁の先端から基部の広い範囲で同程度に起こることが明らかとなった。 ミコナゾールが花弁長に与える影響を調査した。系統Bに対しては花弁長短縮効果があったが、系統Cに対しては効果がなかった。また系統Bに対し異なる作型で追試を行ったところ効果が認められなかったため、栽培環境により施用効果が変動する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Eustoma grandiflorum系統とEustoma exaltatum系統の花弁長差異の原因を明らかにすることができた。花弁の小さいEustoma grandiflorum系統Aについても解析し、Near isogenic Lineとして利用できる可能性を示した。Eustoma grandiflorum系統AとEustoma exaltatum系統の雑種系統も作出済みであるので、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Eustoma grandiflorum系統の花弁形成における網羅的遺伝子発現解析を行う。Eustoma grandiflorum系統とEustoma exaltatum系統の遺伝的多型を調査する。 Eustoma grandiflorum系統AとEustoma exaltatum系統の雑種系統の形質評価を行い、花弁長決定両因子の関係を調査する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた遺伝因子探索を翌年度初頭に行うこととしたため。 2018年4月には遺伝子発現解析に係る研究費を執行し、研究を計画通り遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)