2017 Fiscal Year Research-status Report
海洋生物の腸管に共生する海洋性微生物を利用した希少脂質生産法の開発
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17K07723
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
櫻谷 英治 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10362427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 鷹行 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 助教 (90740332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共生微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
保湿機能を持つ脂質は化粧品や化成品用途に利用されている。本研究において、需要が拡大し今後供給不足が懸念されるスクワレンの発酵生産系確立と新たなファルネセン生産プロセスの開発を目指す。深海ザメや海洋生物にはユニークな中性脂質が多く含まれ、共生微生物による脂質改善が行われていると予想される。これら共生微生物群とそれぞれの海洋生物油脂との比較から生物種ごとに変化する脂質組成との相関を調べるとともに、新たな脂質生合成経路の解明とそれら関連酵素遺伝子を活用した油糧微生物での発酵生産へと連動する。 魚の腸内細菌群を単離し、脂質の包括的な解析を行ったところ、ジピコリン酸を蓄積するバクテリアを単離した。同定の結果、Bacillus属であると推定されたことから、蓄積されるジピコリン酸は芽胞形成に関連することが考えられた。培養条件を検討したところ、約300 mg/lのジピコリン酸が生成された。 また、スクワレンを蓄積するバクテリアを単離した。しかしながら、その蓄積量は3 mg/l程度であった。anteisoの奇数鎖脂肪酸を蓄積したことからバクテリアであることが推測された。総脂肪酸に占めるanteiso奇数鎖脂肪酸の割合は65%に達した。本菌はグルコースだけでなく、スクロースやトレハロースでも良好に生育することが分かった。バクテリアのスクアレン生合成については不明な点も多く、生合成経路の解明と蓄積されるスクアレンの機能性について研究する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深海ザメを含む魚類や海洋生物に共生する微生物を多く単離し、脂肪酸組成やステロール組成分析を行った。多くの海洋性微生物はバクテリアであり、ジピコリン酸蓄積性のBacillus属細菌やスクアレン生産性の細菌の単離に成功した。ユニークな脂質生産性の微生物の単離を継続するとともに、これまでに単離された微生物の脂質生合成経路の解明にも取り組んでいることから、研究はおおむね順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ユニークな脂質生産性の微生物の単離を継続する。特に、海洋性の藻類や微細藻類に関して分析検体数が少ないことから、それらに対してスクリーニングを行う必要がある。また、これまでに単離された微生物の脂質生合成経路の解明に取り組む必要がある。特にスクアレンを生産するバクテリアのスクアレン生合成経路が真核生物と同等なのか、ステロール類を生産するかなどを精査する必要がある。
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Research Products
(1 results)