2018 Fiscal Year Research-status Report
Characterization and application of a novel dye-linked L-lactate dehydrogenase from thimophilic archaea
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17K07748
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
里村 武範 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (50412317)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化還元酵素 / バイオデバイス / 好熱菌 / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに組換えタンパク質の発現系と酵素の精製法の確立に成功している好熱好酸性アーキア由来色素依存性L-乳酸脱水素酵素 (Dye-LDH) のタンパク質結晶化と電極用素子としての機能評価を行った。タンパク質の結晶化実験に関して、アーキアを宿主とした組換えタンパク質の発現量が低いため、Dye-LDHの結晶化条件を見つけることまでには至らなかった。現在、このアーキアを宿主とするタンパク質発現系の改良を進めており、より大量の組換えタンパク質の生産を試みいる。この発現系を完成させた後、さらに多くの結晶化条件の検索を行い本酵素の立体構造を解析する予定である。また、Dye-LDHを電極上に導電性ナノ材料である多層カーボンナノチューブとともに修飾し、本酵素の電気化学的性質の初歩的な評価を行った。その結果、Dye-LDHを電極上に修飾した電極はフェロセンカルボン酸をメディエータとして用いた時、基質の添加によって電極上で酵素触媒反応を確認することができた。さらに本酵素修飾電極にメディエータを添加せずに酵素触媒反応を解析したところ、基質であるL-乳酸の添加によってDye-LDH反応を電極上で確認することができた。このことから、本酵素は酵素-電極間で直接電子移動(DET)反応を行うことが可能であることが明らかとなった。これまでに、超好熱菌からDET反応を行うことが可能な酵素は見出されておらず、今回が初めての例である。次年度はさらに本酵素が効率的にDET反応を行うことが可能な電極への修飾条件の検討、本酵素の詳細な電気化学的性質の解析を行い、本酵素を素子とした電気化学デバイスの構築を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本申請の達成目的の一つである好熱好酸性アーキア由来色素依存性L-乳酸脱水素酵素の酵素-電極間の直接電子移動(DET)を確認することに成功し、当初の計画通り次年度に予定しているバイオ電池などへの応用開発を進めることができるため計画はおおむね順調に進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、酵素修飾電極を作成することができる程度の組換えタンパク質を得ることには成功しているが、本酵素のバイオデバイスへの応用のためは、より多くのタンパク質が必要になってくる。そのため、大腸菌の組換えタンパク質発現系レベルのタンパク質を得ることができるようなアーキアを宿主とした本酵素のタンパク質発現系の改良を進めていく。それと同時に現行の方法で酵素修飾電極を作成しバイオ電池などへのデバイスの開発を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初予定していた実験計画が予想よりスムーズに進行したため、購入する試薬類が少なくて済んだため未使用額が生じた。よって、本年度の残予算は本申請最終年度の予算に回し論文発表および学会発表等の研究成果の報告に使用する予定である。
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